手の外科の実際 改訂第7版 [単行本]
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販売開始日: 2011/11/01
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手の外科の実際 改訂第7版 [単行本] の 商品概要

  • 目次

    【書評】
     20世紀の二度にわたる世界大戦は経済構造や政治体制にとどまらず、科学や文化の隅々にまで及ぶ変化を未曾有の規模と速度で世界全体にもたらした。「手外科」というきわめて専門性の高い外科分野もこの極端な時代のうねりの中で勃興し、第二次世界大戦の終了と時を同じくして組織された米国手外科学会を嚆矢として、前世紀後半に瞬く間に専門学会が世界各所に組織され、今日の隆盛にいたった。日本が幸運であったのは、手外科黎明期に本書の著者である津下健哉先生と、新潟大学の故田島達也先生という2人の偉大なパイオニアが存在し、それぞれが異なる手法を用いて若手医師のアニマルスピリッツを強烈に刺激していたことであろう。その結果、1957年には日本手外科学会が世界で2番目の専門学会として設立され、その後の急速な発展により今日では所属会員数が3,500名あまり、独自の手外科専門医制度を有し、日本医学会分科会にも名を連ねるまでになった。今回第7版が出版された本書は日本における急速かつダイナミックな手外科の発展を支えた名著であり、その具体的かつ包括的な記述ゆえに、およそ手外科にかかわるすべての医師が座右の書としてきた不朽の大著である。

     はじめて本書に接する若手医師にとっては、「手の外科の実際」というタイトルが医学書としてはめずらしく感じるかもしれない。しかし、「実際」という一語に津下先生が本書に込めた思いが凝縮している。一般的に医学書は解剖・生理など基礎的知識の解説に始まり、臨床的事項の記述も既存の理論や文献的考察に多く依拠する。これに対し、本書は「手の外科の特殊性」という異例の表題を与えられた1ページあまりの短い文章で始まる。本書には目次の前に「改訂第7版の序」と「第1版の序」という二つの序文があるが、本書をはじめて手にする若手医師にはこの三つの文章を読むところから始めてほしい。なぜなら、ここにはパイオニアたる津下先生が手外科を志すすべての人に伝えたいと願い、本書を出版する大きな原動力となった、そして第1版の出版から46年を経た今日まで一度も揺るいだことがないと思われる先生の思いが丁寧に記述されているからである。丁寧であるが実直に書かれたこれらの文章を読むと、本書の編纂をとおして津下先生がめざしたものが手外科の理論化や公式化ではなく、先生自らが実践をとおして体得した知識と技術をわれわれ後進に伝授することであると感じられる。本書は求道者による指南書であり、宮本武蔵の『五輪書』を彷彿とさせる手外科医必読の書なのである。序文に書かれている「手の外科の原則とその考え方の常識」の理解は他人の手にメスを入れるための大前提であり、「それには10年の時間が必要であろう」との記述は津下先生の55年の経験に裏打ちされた現実的指摘であろう。読者にはぜひ、この言葉を重くとらえて本書を繰り返し読んで、注意深く手外科診療を実践してほしい。

     今回の改訂は第6版から実に20年ぶりとなる。実際にはこの間も本書の姉妹本である『私の手の外科―手術アトラス』が改訂・増刷を繰り返しており、津下先生は自ら渉猟し、また、高弟の協力を得ることで手外科の変遷を弛むことなくつぶさにみつめ続けている。津下先生は90歳とご高齢ですでにメスをとられることはないとうかがったが、現在でも学会場に足を運び、会場で熱心にメモをとり、少しも奢ることなく、真摯に手外科に向かい合う姿勢をしばしば拝見する。第6版と比較すると今回の改訂は図表の追加や、記述の変更などを含め目立ったものだけでも50ヵ所以上に及ぶ。過去20年間に大きく進歩したマイクロサージャリーや手関節外科の章では、生田義和広島大学名誉教授や砂川融広島大学大学院上肢機能解析制御科学教授の支援により大幅な改訂が行われているが、それ以外の部分でも新たな皮弁や、Oberlin法、土井のdouble muscle法、健側第7頚神経移行術といった腕神経叢損傷治療法、手指や肘関節に対する表面置換型全人工関節、手根管症候群に対する内視鏡手術やIndiana tomeを用いた小侵襲手術、高弟・木森研治氏(土谷総合病院部長)の開発した母指対立再建法、内反手に対するIlizarov法など、第6版以降に出現した診断・治療法が多々追加されている。先天異常の項でも、従来のSwanson分類を日本手外科学会先天異常委員会による修正分類に改め、日本主導で確立された指列誘導障害などの新しい概念も紹介されている。これらの改訂に加え、評者がたいへん心打たれたものは肘関節形成術に関する記述の変更である。第6版で紹介されている後外側アプローチは「津下法」と呼ばれ親しんできたものであるが、これに加え尺側アプローチの有用性を紹介し、また、関節リウマチにおいては従来法と異なり橈骨頭切除をすすめるなど、決して過去の業績に固執せず、常に正しいものを探求する姿勢にわずかの揺るぎもみられない。細かな術式や後療法の変更は随所にみられ、求道者の真骨頂が発揮されている。

     先にも述べたように本テキストの価値は単に知識の伝授にとどまらない。本書にはじめて接する人だけでなく、これまで第6版を座右の書と大切にしてきた人にも、この第7版にかえてさらにパイオニアの精神に触れていただきたいと思う。

    評者●平田仁
    臨床雑誌整形外科63巻4号(2012年4月号)より転載

    【序文】
     改訂第6版を出版してから20年余が経過した。私にはもはや改訂はできないものと諦めていた。しかし内容の不足は読者に対して申し訳ないと常々考えていた。たまたま県立身障者リハビリテーションセンター退職後は広島手の外科・微小外科研究所に迎えられ、これも所長から顧問職となり、時間的余裕ができたのを機会に不足部分の追加ができないかと考えた。年齢を考えて恥ずかしい面もあり、また不勉強、経験不足は否定できないが、現在のまま放置するのも残念と考えていたところ、生田義和名誉教授のアドバイスも頂き改訂に着手することとした。マイクロサージャリーの項については生田名誉教授、また砂川融教授らの援助を頂くこととし、一部手術については広島手の外科・微小外科研究所木森研治部長の手術を参考にさせて頂いた。

     本書は「私の手の外科─手術アトラス」と姉妹をなすものであり、今回の改訂では「手術アトラス」の図を一部転用させて頂いた。実際とはprinciples and practiceであり、実施面についても頭でイメージしながら読んで頂ければ幸いである。

     最近の手の外科の進歩は目覚ましいものがあり、微に入り細にわたっての術式が発表されているが、細にこだわり大局を忘れてはならない。手術は手の外科に長年従事してきた人に許されるもので、手を始めて10年以内の人は手の外科の歴史、手の外科の基礎を知る必要がある。技術は教えられるものでなく本人が自らの努力により頭と体で会得するもので、それには10年の時間が必要であろう。マイクロサージャリーの技術は手の外科の進歩に絶対必要である。手術はatraumatic techniqueに徹することであり、瘢痕をいかに最小にするかにある。手の手術をすれば手の外科医だと考えるべきでない。私は手の外科を始めて55年になる。ここに改訂版を出すことの気恥ずかしさはあるが、一面安堵感もあり、多くの人に支えられ今日に至ったことを感謝している。

    2011年9月
    広島大学名誉教授
    津下健哉


    【目次】
    第1章 手の外科の特殊性

    第2章 手の解剖と運動生理
    I.手のアーチと力の介達
     1.Transverse arch
     2.Longitudinal arch
    II.皮膚とランドマーク
    III.手掌腱膜構造
    IV.内在筋(intrinsic muscles)
     1.母指球筋群(thenar muscles)
     2.小指球筋群(hypothenar muscles)
     3.骨間筋および虫様筋
    V.血管とリンパ管
    VI.手の神経支配
     1.皮膚知覚
     2.運動支配
    VII.手の筋肉
     母指のつまみ運動
    VIII.屈筋腱と腱鞘
    IX.指背腱膜構造(extensor apparatus)
     1.矢状索(sagittal band)
     2.腱膜構造(expansion hood)
     3.支靱帯(retinacular ligament)
     4.Cleland ligamentおよびGrayson ligament
     5.母指の背側腱膜
    X.手関節部の構造
     1.手関節掌側
     2.手関節背側
    XI.関節と靱帯構造
     1.手関節
     2.指関節

    第3章 手の手術の一般
    I.手術器具について
    II.麻酔
     1.局所麻酔
     2.伝達麻酔
     3.全身麻酔
    III.消毒
    IV.手術台の配置
    V.敷布のかけ方と術中の透視
    VI.止血帯の使用
    VII.皮層の切開
    VIII.皮膚の縫合
    IX.止血について
    X.Atraumaticの操作
    XI.手の良肢位について
    XII.包帯について
     1.圧迫包帯の実施方法
     2.その他の包帯
    XIII.固定について
     実施上の注意
    XIV.手のリハビリテーション
    XV.弾性副子(dynamic splint)について
     1.プラスチック板の利用
     2.手関節保持用装具(cock-up splint)
     3.指の屈曲を得るための装具
     4.指の伸展を得るための装具
     5.母指対立位保持のための装具(opponens splint)
     6.機能訓練

    第4章 手における開放創の処置
    I.開放創処置の目標と治療原則
    II.救急処置と再感染の防止
    III.受傷と受傷状況およびその問診
     1.原因
     2.受傷からの経過時間と最初の処置
    IV.創の観察
     1.創の性状および汚染程度
     2.皮膚欠損について
     3.皮膚の生活力判定
     4.深部組織損傷の有無
    V.麻酔について
    VI.開放創の清掃
    VII.Debridementについて
    VIII.一次的創閉鎖の適応について
    IX.深部組織修復の問題
     1.骨折、脱臼の修復
     2.血管の縫合
     3.腱の修復
     4.神経の修復
    X.開放創の閉鎖について
     1.単なる縫合について
     2.局所皮膚の移動
     3.遊離皮膚移植
     4.有茎皮膚移植
    XI.後療法について

    第5章 挫滅創の処置
    I.圧挫創
    II.手指背側における挫滅創
    III.手指掌側における挫滅創
    IV.Degloving injuryの処置
     治療
     1.剥離皮弁の再縫合
     2.遊離植皮術
     3.有茎植皮法
     4.有茎植皮と遊離植皮の合併法
     5.二次的修復について
     Ring injuryについて
    V.High-pressure injection injury
    VI.指の挫滅創と切断の問題
     1.指の切断と適応の決定
     2.指切断の実際と注意
    VII.新鮮外傷と一次再建術(primary reconstruction)の重要性
    VIII.化膿創の処置について

    第6章 爪の損傷
    I.爪下における血腫形成
    II.爪の剥離と爪床損傷
    III.爪の変形
    IV.爪の疾患
    V.爪の形成と移植

    第7章 指先部の切断とその被覆
    I.指の手術と準備
    II.末節における指の切断
     1.不完全切断
     2.完全切断
    III.指の切断と再接合
    IV.断端の形成術

    第8章 熱傷の治療
    I.熱傷について
     1.熱傷の原因と分類
     2.熱傷程度の分類
     3.ショックについて
     4.熱傷の治療
    II.放射線火傷(radiation burn)について
    III.電撃傷(electrical burn)について
     1.局所の所見
     2.治療
     3.陳旧例に対する機能再建
    IV.化学薬品による熱傷(chemical burn)
     1.酸、アルカリ
     2.フッ化水素酸(hydrofluoric acid)

    第9章 瘢痕拘縮の治療
    I.瘢痕拘縮の予防
    II.手術適応と手術時期
    III.瘢痕拘縮除去時の諸注意
    IV.線状瘢痕に対するZ-plasty
     1.実施上の注意
     2.Z-plastyの利用
    V.表在性瘢痕の除去
     1.瘢痕切除と遊離皮膚移植の実施
     2.指間部における水かき形成の除去を伴う皮膚移植
    VI.深部に及ぶ瘢痕拘縮の除去
     1.MP関節の過伸展拘縮の除去
     2.指背瘢痕と指のボタン穴変形
     3.指屈側の瘢痕拘縮
     4.母・示指間の瘢痕による母指内転拘縮の矯正
    VII.有茎植皮の実施について
     1.適応
     2.利点と欠点
     3.種類と方法

    第10章 骨折と脱臼(含 手根不安定症、靱帯損傷、ロッキング)
    I.治療の原則
     1.早期整復
     2.固定肢位(安全肢位固定)
     3.固定範囲
     4.完全固定
     5.早期運動
     6.関節強直の防止
    II.手関節における骨折と脱臼
     1.橈骨遠位端骨折
     2.Colles骨折
     3.不安定骨折とその治療
     4.橈・尺関節の脱臼
     5.手根骨部における骨折と脱臼
    III.末節の骨折および脱臼
    IV.中節の骨折および脱臼
     1.中節骨骨折
     2.PIP関節における脱臼および骨折
    V.基節の骨折および脱臼
     1.基節骨骨頭顆部骨折
     2.基節骨骨幹部骨折
     3.基節骨の若年者骨折
     4.MP関節の背側脱臼
    VI.中手骨の骨折および脱臼
     1.基部骨折
     2.骨幹部骨折
     3.頸部骨折
     4.手根中手骨CM関節の脱臼・骨折
    VII.母指の骨折と脱臼
     1.末節、基節の骨折、脱臼
     2.MP関節の脱臼
     3.CM関節の脱臼骨折(Bennett骨折、Rolando骨折)
     4.母指CM関節の習慣性脱臼、および変形性関節症
    VIII.指における捻挫
     1.側副靱帯の断裂
     2.Volar plateの断裂
     3.Boutonniere deformityの発生
     4.診断
     5.治療
    IX.母指における捻挫
     1.MP関節尺側側副靱帯の断裂(Stener lesion)
     2.母指MP関節亜脱臼
     3.母指MP関節のロッキング
     4.示指におけるMP関節ロッキング

    第11章 骨、関節の手術
    I.肘関節
     肘拘縮の原因
     1.関節形成術
     2.人工関節による肘関節形成術
     3.肘関節側副靱帯の再建
     4.肘の離断性骨軟骨症(osteochondritis dissecans)
     5.橈骨頭(頸部)骨折
     6.上腕骨外上顆炎(テニス肘)
    II.手関節
     1.関節固定術
     2.関節形成術
    III.前腕の回旋運動障害
     1.尺骨末端切除術(Darrach operation)
     2.尺骨短縮術
     3.Sauve-Kapandji法
    IV.中手骨の変形、欠損
     1.骨の変形
     2.骨幹部の欠損
     3.中手骨の移行術(metacarpal transfer)
     4.中手骨骨頭の欠損
    V.MP関節に対する手術
     1.関節嚢切除術(capsulectomy)
     2.人工関節Avanta MCP implantによる関節授動術
     3.全関節移植術(whole-joint replacement)
    VI.PIP関節に対する手術
     1.PIP関節拘縮に対する処置
     2.関節固定術
     3.関節形
  • 内容紹介

    著者の10,000例に及ぶ症例経験,業績を基軸に,手の外科のすべてを詳解した.手の外科の治療にあたっての諸注意,こつを具体的に記述し,著者の基本姿勢であるatraumaticな操作,すなわちより完全な解剖学的修復,瘢痕の少ない修復操作で全章が貫かれている.手の外科の治療原則から後療法まで,個々の症例ごとに臨床応用できるよう解説した.

手の外科の実際 改訂第7版 [単行本] の商品スペック

商品仕様
出版社名:南江堂
著者名:津下 健哉(著)
発行年月日:2011/11
ISBN-10:4524262172
ISBN-13:9784524262175
判型:規大
対象:専門
発行形態:単行本
内容:医学・薬学・歯学
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