貧困と連帯の人類学―ブラジルの路上市場における一方的贈与 [単行本]

貧困と連帯の人類学―ブラジルの路上市場における一方的贈与 の 商品概要

• 要旨（「BOOK」データベースより）

  私は自分が要らないモノを他人にあげることはない。私にとっても重要なものだからこそ、あなたにあげる。首都ブラジリアの衛星都市、セイランジャ。その路上市場では、貧困地帯である北東部から移住してきた人々が働いている。貧乏人を自認する彼らは、ときに警察の取締りから逃れながら、働き者であることを誤り、困っている人に手を差し伸べる―路上商人たちの「正しさの規範」と「善さの規範」から、階層を越えた連帯の作法を探る。

• 目次

  前書き
  序論　過剰と欠乏の息苦しさ
  1　贈与への社会的要請―誰が何をどのくらい所有することが正当か
  2　社会問題としての貧困―ブラジルで貧困層として生きるということ
  第一章　ブラジルの縮図としての首都ブラジリア
  1　「希望の都市」ブラジリアと建設労働者
  2　「ヒコ（お金持ち）の空間」と「ポブレ（貧乏人）の空間」
  第二章　路上市場の民族誌
  1　路上商人の生活実践
  2　都市部路上商人の故郷―ブラジル北東部
  3　都市部への移住と社会的上昇―「未来がない」とは
  第三章　「汗をかいたカネ」と「伸びるカネ」
  1　路上商人の「汗をかいたカネ」―マーケット・エコノミーのなかの「正しさ」
  2　路上商人の「伸びるカネ」―モラル・エコノミーのなかの「善さ」
  第四章　三つの一方的贈与―邪視・ねだり・物乞い
  1　路上商人と邪視
  2　路上市場でのねだり
  3　路上での物乞い
  第五章　一方的贈与論
  1　贈与論再考
  2　非対称性の確認作業としての贈与―誰が持つ者で、誰が持たざる者か
  3　「正しさ」と「善さ」がぶつかるとき―路上商人たちの「よい贈与」と「わるい贈与」
  結論　連帯の作法
  1　社会的なもの―ヨコのつながり
  2　富裕者から貧困者への一方的贈与
  3　社会的なもの―タテのつながりの模索
  4　社会的なものへの期待と責任領域
  あとがき
  参考文献

• 内容紹介

  他者を手助けしたいと願うとき、何をどこまで分け与えるべきか。ブラジル路上市場でのフィールドワークから、連帯の作法を探る。

• 著者紹介（「BOOK著者紹介情報」より）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）

  奥田 若菜(オクダ ワカナ)
  神田外語大学外国語学部専任講師。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程満期退学、博士（人間科学）。専門は文化人類学。２００３年にブラジル連邦共和国の路上市場にて現地調査を開始した

• 著者について

  奥田若菜 (オクダワカナ)
  奥田若菜（おくだ・わかな）
  神田外語大学外国語学部専任講師。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程満期退学、博士（人間科学）。専門は文化人類学。二〇〇三年にブラジル連邦共和国の路上市場にて現地調査を開始した。
  共著に「貧困層として生きる現代ブラジル社会―都市と北東部を巡る生活史」『グローバル化時代のブラジルの実像と未来』（行路社、二〇〇八年）、「ブラジリアにおける二つの不法問題」『ブラジルの都市問題―貧困と格差を越えて』（春風社、二〇〇九年）、「マイノリティ」『新版　現代ブラジル事典』（新評論、二〇一六年）などがある。

貧困と連帯の人類学―ブラジルの路上市場における一方的贈与 の商品スペック