ぼくのワインができるまで [単行本]
    • ぼくのワインができるまで [単行本]

    • ¥1,65050 ゴールドポイント(3%還元)
    • 在庫あり2025年8月1日金曜日までヨドバシエクストリームサービス便(無料)がお届け
100000009003141399

ぼくのワインができるまで [単行本]

玉村 豊男(絵・文)
価格:¥1,650(税込)
ゴールドポイント:50 ゴールドポイント(3%還元)(¥50相当)
フォーマット:
お届け日:在庫あり今すぐのご注文で、2025年8月1日金曜日までヨドバシエクストリームサービス便(無料)がお届けします。届け先変更]詳しくはこちら
出版社:東京書籍
販売開始日: 2019/06/24
お取り扱い: のお取り扱い商品です。
ご確認事項:返品不可

カテゴリランキング

店舗受け取りが可能です
マルチメディアAkibaマルチメディア梅田マルチメディア博多にて24時間営業時間外でもお受け取りいただけるようになりました

ぼくのワインができるまで [単行本] の 商品概要

  • 要旨(「BOOK」データベースより)

    ブドウ栽培ワイン醸造ワイナリー経営の学校「千曲川ワインアカデミー」を主宰する、ヴィラデストワイナリーのオーナー玉村豊男が絵と文で指南する「貧乏なワイナリーオーナーになる方法」。土と太陽をメディアにして自己を表現するワインづくりというアートの魅力。生きている実感を抱くことができる、充実した後半生を求める人たちへ。
  • 目次

    01 ぼくのワインができるまで 玉村豊男

    02 もくじ

    03 もくじ

    04 白

    05 ぼくのワインができるまで

    06
    飛行機のオリーブ
    22歳のとき、フランスに向かう飛行機の中で、
    生まれて初めてオリーブを食べました。
    後にも先にも、こんなにマズイものは食べたことがない
    ……と、そのときは思いました。

    07
    パリ大学の食堂で
    パリ大学の学生食堂では、
    前菜からデザートまでの食事が、
    安い値段で食べられました。
    そのうえ食券を渡すときに何十円か余計に払うと、
    ワインの小瓶が買えるのでした。

    08
    人がワインと出会うとき
    私が最初にワインを飲んだのは、いつだったか、覚えていません。学生の頃は、女の子とデートするときはカクテルで、仲間と飲むときは、安いウイスキーか焼酎でした。ワインは親戚の結婚式のときに、ビールや日本酒といっしょに出てきたかもしれません。
    フランスへ向かう飛行機には、当然ワインもあったはずですが、飲んだかどうか記憶にありません。ただ、おつまみとして出されたオリーブを一口食べたときには、ゲッ、と吐き出しそうになりました。なんと形容したらいいかわからない、受け入れ難い味だったからです。
    人は、人生のどこかでワインと出会います。出会っても覚えていないか、渋いとか酸っぱいとかいうあまりよくない記憶が残るかで、最初から「おいしい」と感じる人は、案外少ないのではないかと思います。でも、そのあとで、何回目かのワインを口にしたとき、突然、ワインに目覚める機会が訪れる……という人が、たくさんいます。どんなかたちで出会うにせよ、その日から、人生はそれまでよりずっと楽しくなるでしょう。
    最初はマズイと思ったオリーブも、それから間もなく大好きになりました。人の嗜好は、慣れることによって変わります。食べているうちに、飲んでいるうちに、だんだん美味しさがわかってくる。いまでは飛行機に乗ると、カクテルに入れる種なしオリーブを数個もってきてほしいとアテンダントにお願いして、食前酒のおともにするのが習慣になりました。

    09
    お酒は人にならうもの
    お酒は人にならうものです。最初からひとりでお酒を飲みはじめて、それが習慣になる人は、めったにいません。誰かに誘われて、奨められて、なんとなくこわごわと口をつける。最初の出会いは、そんなふうにはじまるのです。日本ではまだまだワインを飲む人が少ないので、ワインの楽しみを知った人は、知らない人にぜひ教えてあげてください。
    ワインは毎日飲むものだ、と私に教えてくれたのはフランス人です。50年前のフランス人は、いまの3倍もワインを飲んでいました(その頃の日本人が、いまの3倍も日本酒を飲んでいたように)。食事をするときはかならずワインを飲み、ワインを飲みながらおしゃべりをする。勉強をサボって途中から放浪旅行をはじめてしまった私にとって、ワインと会話が食事の楽しみであることを学んだのが、フランス留学(?)の最大の成果でした。
    いま、世界中の、これまでワインを知らなかった国で、ワインを飲む人が増えています。逆にフランスのような伝統的なワイン生産国では、安いワインを毎日飲む代わりに、ちょっといいワインを週末に仲間と楽しむ、という人が増えています。
    ワインは特定の国に限られた文化ではなく、また、酔うために飲むお酒でもなく、人と人とを繋げるコミュニケーション・ドリンクなのだということに、世界中の人たちが気づきはじめているのです。

    10
    飲むか
    ワインの国民一人当たり年間消費量は、
    日本が4本、フランスが40本。
    私は毎週4本で年間200本。自分では高いワインは買いませんが、
    人がご馳走してくれればよろこんでいただきます。

    11
    造るか
    ワインが好きで飲んでいるうちに、
    自分で造りたくなってしまう人がいます。
    高いワインを買って飲むにはおカネがかかりますが、
    自分でワインを造ろうとすると、もっとおカネがかかります。

    12
    ワインを造りたい人が増えている
    フランス、イタリア、地中海沿岸諸国やチリなどの伝統国に続いて、カリフォルニアを筆頭とするアメリカ合衆国の各州、さらにニュージーランドやオーストラリア、南アフリカなどでワイン産業がブレークし、いまでは中国やインドやタイでも上質なワインが造られるようになりました。こうした世界の潮流に棹差して、日本でも近年ワイナリーの新設が目立ちます。
    地球温暖化の影響で環境が変わる中、日本では長野県や北海道などの標高の高い冷涼土地にブドウを植え、自分が育てたブドウでワインを造りたい、という人が増えているのが特徴です。それも、人生の途中でそれまでのキャリアを辞し、達成感のある仕事と手触りのある暮らしを求めて「ライフスタイルとしてのワイン造り」にチャレンジする人たちが、家族だけで営むようなマイクロワイナリーを続々と立ち上げています。
    春から秋まで一滴の雨も降らないような外国のブドウ産地では、地球温暖化によって気温が高くなり、ブドウの糖度が上がって困っています。糖度が上がるとワインにしたときにアルコール度数が強くなり過ぎ、微妙な風味が感じにくくなるからです。雨の多い日本ではブドウに病気が出やすいので栽培に手間がかかりますが、そのぶん繊細でやさしい味のワインができるという利点があり、これから外国でも評価が高まると思います。

    13
    ワイナリーオーナーになるために
    ワイナリーのオーナーといえば、世界では大金持ちと決まっています。事業を当てて大儲けした実業家や、引退した有名プロスポーツ選手が、趣味と名誉のためにワイナリーを所有する……というイメージがあるので、私が外国で「ワイナリーオーナー」という肩書の名刺を見せると、みんなびっくりします。が、実は日本のワイナリーオーナーのほとんどは、びっくりするほど貧乏です。
    ワイン農業(ワインを造るためのブドウを栽培する)は、世界ではいちばん古い農業ですが、日本ではいちばん新しい農業なので、まず使える土地を探すことからはじめなければなりません。日本のワイン産業は微々たるもので、基盤を支える周辺の環境も整っていないので、個人でワイナリーを立ち上げようとする人たちは必要な建物や機械や備品をすべて自力で揃える必要があり、最低でも数千万円の借金を抱えてスタートするのがふつうです。
    死ぬまで少しずつ借金を返しながら、それでも本当に自分がやりたい仕事に夢中で取り組み、充実した人生を送りたいと願う人。日本のワイナリーオーナーはそんな人たちですが、そのために安全なキャリアを捨てたにもかかわらず、毎日嬉々として慣れない労働にいそしみ、清貧に甘んじながら、誰も自分の決断を後悔していないのが不思議です。

    14
    土地を探す
    このあたりにブドウ畑をもって、ワインを造りながら暮らしたい、
    と思う土地を、まずは心に定めましょう。
    それが自分に縁のある土地でもない土地でも、
    新しい人生は新しい革袋に……

    15
    骨を埋める
    ブドウの樹は人間と同じくらい長生きなので、
    一度その土地にブドウの苗木を植えた人は、
    途中で後継者を見つけて、
    死ぬまでその傍らで暮らすことになります。

    16
    農地を手に入れる
    農業を営む人口はどんどん減っているので、どの地域でも荒廃農地(耕作放棄地)が増えています。が、それならどこでもすぐに使える農地が見つかるかというと、そうではありません。後継者がいない農家の老人でも、農地を売るのはもちろん、貸すのも嫌だという人がたくさんいます。貸してもいいよ、といってくれる人でも、2~3年ならいいが10年は困る、という人がほとんどです。ブドウは長生きですから、20年ごとに更新できるような、長期の借用が望ましいのですが。
    農地を手に入れる(買うか借りるかする)には、農家の資格が必要です。そのためには、まずその地域を管轄する市町村の役場に行って、「新規就農」の手続きをしなければなりません。いま仕事をもっている人がそれを辞めて農業をはじめたいと言うと、「そんな収入があるのに、なんで好き好んで農業なんかやるの?」と言われて、窓口の担当者から相手にされないのがふつうです。まずは、その関門を突破するのが最初の試練でしょう。
    市町村によっては、新規就農を願い出た人に、役場や農協が使える農地を紹介してくれる場合もあります。そうでなければ地元の人に聞くなどして農地を貸してくれる人を探し出し、直接談判することになります。ワインを造りたい人たちが多く集まっている地域では、熱意を快く受け入れてくれる農家も増えているようです。

    17
    ブドウの樹の寿命
    ブドウの樹は50年から80年のあいだ生き続けます。果樹は30年を過ぎると生産量が落ちるので、伐採して新しい苗木に更新するのがふつうですが、ワインは歳を取った樹に実るブドウから造るほうがおいしいので、ヴィエイユ・ヴィーニュ(古いブドウ樹)が珍重されるのです。血気盛んな若いうちはたくさんの実をつけるが、ワインにすると、まだ味が薄い。生産量が落ちる頃からようやくいい味が出はじめて、歳を取るにつれて価値が上がる……と聞くと、元気が出る人も多いでしょう。
    「勤勉なる農夫は、みずからその果実を見ることのない苗を植える」というラテン語の諺がありますが、ブドウを育ててワインをつくるという仕事は、一代で終わるものではありません。だから逆に言えば、自分の後を継いでそのブドウ畑の面倒を見てくれる人さえいれば、何歳からはじめても同じ、ということになります。
    実際、定年後から栽培醸造の勉強をはじめて古稀までに自分のワインを造りたいという人や、経済的に余裕がある自分がワイナリーを建ててから子供の世代に引き継ぎたい、子供がいないので将来はワイナリーを他人に譲って老後の資金にしたいなど、さまざまなケースが生まれています。まだ日本では、できあがったブドウ畑やワイナリーを売買する例は多くありませんが、将来は増えていくと思います。

    18
    苗木を買う
    畑にする土地が決まったら、
    育てたい品種の苗木を、専門の業者に発注します。
    苗木が届くのは、発注から約1年後。
    いまは苗木が不足しているので、
    もう少し時間がかかるかもしれません。

    19
    苗を植える
    まだ鉛筆くらいの太さしかない苗木を、
    穴を掘って埋めていきます。
    本数が多いと結構たいへんな作業になりますが、
    ワイン仲間に声をかければ、
    みんなよろこんで手伝ってくれるでしょう。

    20
    育てるブドウの品種を選ぶ
    どんなワインを造りたいかによって選ぶ品種は違ってくるわけですが、その土地の自然条件によって栽培できる品種が限られることもあります。もちろん日照はできるだけ多く、雨量はできるだけ少ないに越したことはありませんが、品種の選定に影響するのは気温(標高による変化も含めて)です。白ワインのブドウは冷涼な土地で育ちますが、赤ワインのブドウはもっと温度が必要です。赤ワインの品種ではピノ・ノワールがもっとも早熟で、メルローがそれに次ぎ、カベルネやシラーはさらに温暖な気候を好みます。
    上に挙げた品種は、どれも欧州系ヴィニフェラ種の仲間です。ヨーロッパはもちろんアメリカでもアジアでも、ワインはヴィニフェラ種のブドウから造るのが常識なので、世界に通用するワインの味を求めるなら、世界の常識に従うのがよいと思います。日本ではこのほかに、生食用・ジュース用のアメリカ系品種(ナイアガラ、デラウェアなど)、アメリカ系と欧州系のハイブリッド種(ブラッククイーン、マスカット・ベーリーAなど)、日本在来のヤマブドウおよびそのハイブリッド種など、さまざまなブドウからワインが造られています。
    おもに山梨県で栽培される「甲州」という品種は、古い時代に大陸から伝わったヴィニフェラ種が日本で土着化したものですが、最近はその特徴を生かす醸造法が研究されて、日本独自の品種によるワインとして注目されています。明治時代に長野県で発見された「龍眼(善光寺ブドウ)」も、同じく大陸から伝来したヴィニフェラ種です。

    21
    苗はかならず接ぎ木をする
    ワイン用のブドウ苗は、台木に穂木を接いでつくります。穂木というのは、冬の剪定のときに切り取る(収穫が終わって落葉した)枝の、小さな断片。これを台木(の同じく断片)に射し込んで接ぎ木するのですが、穂木にはつくりたいヴィニフェラ種のクローンを選び、台木にはアメリカ系の(台木専用の)品種を選ぶのがふつうです。ヴィニフェラ種にはフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)という天敵がいて、この虫が根に入ると樹が枯れてしまいます。フィロキセラはもともとアメリカにいた虫なので、アメリカ系の品種には耐性があり、だから根だけはアメリカ系にするのです。
    接ぎ木の技術を習得すれば、苗は自分でつくることもできます。ただ、接ぎ木をした後の温度管理などが難しいのとそれなりの施設が必要なので、数多くつくるには専門の業者に発注するのがふつうです。接ぎ木をしたその年の幼い苗(ポット苗)は、すぐ外の畑に定植することも可能ですが、業者の施設で1年育ててもらってから自分の畑に植えるほうが、より確実に活着させることができます。
    苗木が不足しているからといって、ヴィニフェラ種の枝をそのまま挿し木にするのは止めましょう。挿し木をすれば根は生えますが(自根栽培)、いつかかならずフィロキセラにやられます。150年前にヨーロッパで猛威を振るったフィロキセラは、現代の日本でもじわじわと増殖しています。

    22
    与えられた土地
    幸いにもブドウを植えることのできる畑が見つかったら、
    そこが与えられた運命の土地。
    理想を求めて青い鳥を探すより、
    その土地の個性をどう表現するかを考えましょう。

    23
    垣根づくりの畑
    日本では古くからブドウを棚で栽培してきましたが、
    世界では垣根のように一列に並べて植えるのがふつうです。
    棚栽培は、土地を有効に使うためと、
    枝にたくさんの果実をつけるためのやりかたです。

    24
    どんな土地でもブドウは育つ
    理想の品種とクローンの苗木を、理想的な土質の畑で育てる……という理想を追っていたら、死ぬまでワインはできません。春から秋まで一滴の雨も降らない大地も、地中海沿岸のような石灰岩の地質も、日本にはないのです。幸いにもブドウを植えることのできる畑地が見つ
  • 内容紹介

    ブドウ栽培・ワイン醸造・ワイナリー経営の学校「千曲川ワインアカデミー」を主宰する、ヴィラデストワイナリーのオーナー玉村豊男が絵と文で指南する「貧乏なワイナリーオーナーになる方法」。
    土と太陽をメディアにして自己を表現するワインづくりというアートの魅力。生きている実感を抱くことができる、充実した後半生を求める人たちへ。
  • 著者紹介(「BOOK著者紹介情報」より)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    玉村 豊男(タマムラ トヨオ)
    1945年、東京生まれ。東京大学仏文科卒業。在学中にパリ大学言語学研究所に留学。『パリ 旅の雑学ノート』『料理の四面体』をはじめ、精力的に執筆活動を続ける。長野県東御市に「ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナーリ」を開設。ワイナリーオーナー、画家としても活動中
  • 著者について

    玉村豊男 (タマムラトヨオ)
    玉村豊男(たまむら・とよお)
    1945年、東京生まれ。東京大学仏文科卒業。在学中にパリ大学言語学研究所に留学。『パリ・旅の雑学ノート』『料理の四面体』をはじめ、精力的に執筆活動を続ける。長野県東御市に「ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー」を開設。ワイナリーオーナー、画家としても活動中。著書に『隠居志願』(東京書籍)、『千曲川ワインバレー――新しい農業への視点』(集英社新書)ほか多数。

ぼくのワインができるまで [単行本] の商品スペック

商品仕様
出版社名:東京書籍
著者名:玉村 豊男(絵・文)
発行年月日:2019/07/05
ISBN-10:4487811945
ISBN-13:9784487811946
判型:規大
対象:一般
発行形態:単行本
内容:日本文学評論・随筆
言語:日本語
ページ数:83ページ
縦:22cm
横:19cm
他の東京書籍の書籍を探す

    東京書籍 ぼくのワインができるまで [単行本] に関するレビューとQ&A

    商品に関するご意見やご感想、購入者への質問をお待ちしています!