ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか―現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌 [単行本]

ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか―現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌 の 商品概要

• 要旨（「BOOK」データベースより）

  インド社会の排泄物処理を含むサニテーションをその末端で担ってきた、「清掃人カースト」ヴァールミーキの人びと。ガーンディーの思想を受け継ぐＮＧＯをはじめ、人道的使命に突き動かされた様々な人びとの闘いにより、排泄物処理人たちは、不潔で不浄な労働や差別から「解放」されていったとされている。しかしながら実際に、彼らはいかなる労働を行い、そこにどのような意味づけを主体的になしてきたのだろうか。そして彼らの社会的な位置づけはいかに変化し、彼らはどこへ向かっているのだろうか。

• 目次

  序論
  第1章　清掃人カースト研究と本書のねらい
  第2章　調査地のヴァールミーキとＮＧＯスラブ
  第3章　英領インドにおける乾式トイレ・システムと清掃人
  第4章　地域の排泄物処理システムとヴァールミーキ
  第5章　不可触民解放運動と水洗トイレ普及運動の歴史
  第6章　乾式トイレの廃絶とヴァールミーキの労働実践の変容
  第7章　公衆衛生的言説の創造的利用と新たな葛藤
  結論　ケガレの積極的受容と差別のはざまで
  あとがき
  参考文献
  索引

• 出版社からのコメント

  インドで排泄物処理に従事してきた「清掃人カースト」ヴァールミーキの人々の労働の実際と行為主体性、社会での位置づけの変化を描く

• 内容紹介

  インド社会の排泄物処理を含むサニテーションをその末端で担ってきた、「清掃人カースト」ヴァールミーキの人びと。
  ガーンディーの思想を受け継ぐＮＧＯをはじめ、人道的使命に突き動かされた様々な人びとの闘いにより、排泄物処理人たちは、不潔で不浄な労働や差別から「解放」されていったとされている。
  しかしながら実際に、彼らはいかなる労働を行い、そこにどのような意味づけを主体的になしてきたのだろうか。そして彼らの社会的な位置づけはいかに変化し、彼らはどこへ向かっているのだろうか。
  
  
  彼らはただの「不浄」かつ「不潔」で「抑圧された」不可触民ではなく、種々の社会的規範にその身をがんじがらめにされながらも、そのなかでなお自ら意図的に、そして戦略的に日々を生き抜く存在であった。この本の中で私が描きたいと願うのは、そんな彼らの姿とはどんなものか、それが（…）人道的な努力によりどう変わり、彼らはどこへ行こうとしているのかという事柄についての、ほんの一端である。［本文より］

• 著者紹介（「BOOK著者紹介情報」より）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）

  増木 優衣(マスキ ユイ)
  日本学術振興会特別研究員（ＰＤ）。文化人類学、南アジア地域研究

• 著者について

  増木優衣 (マスキユイ)
  増木優衣（ますき・ゆい）
  日本学術振興会特別研究員（ＰＤ）
  文化人類学、南アジア地域研究
  主な著作に、「サニテーション労働とカースト:　インドの事例から」（中尾世治・牛島健編『社会・文化からみたサニテーション』講座サニテーション学　第2巻、北海道大学出版会、2023年春刊行予定）、“Ideas and Practices for Restoring the Humanity of Sanitation Workers in India," （T. Yamauchi, S. Nakao, and H. Harada eds., The Sanitation Triangle: Socio-Culture, Health and Materials, Springer Singapore, 2022）など。

ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか―現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌 の商品スペック