中国の介護保険構想―持続可能な制度構築へ向けた政策分析 [単行本]

中国の介護保険構想―持続可能な制度構築へ向けた政策分析 の 商品概要

• 目次

  　はしがき
  
  序章　中国の介護保険研究――その到達点と課題
  　第1節　研究背景
  　第2節　先行研究の検討と問題の所在
  　第3節　研究の対象、目的と方法
  　　3-1．研究対象――15の指定地域および日本の介護保険制度
  　　3-2．研究目的と研究方法
  　第4節　本研究の構成と研究意義
  
  第Ⅰ部　パイロット事業を推進している15地域の介護保険制度
  
  第1章　パイロット事業が提示された背景およびプロセス
  　第1節　中国における介護問題の深刻化
  　　1-1．要介護高齢者の増加
  　　1-2．前提とされてきた家族介護の限界
  　　1-3．社会サービスの諸問題
  　第2節　介護保険制度の導入動向
  　　2-1．医療や年金保障の整備
  　　2-2．諸隣国（日本、韓国）からの影響
  　　2-3．介護保険パイロット事業の展開に至る経緯
  　第3節　「意見」に示された介護保険の「シナリオ」
  　　3-1．「シナリオ」を含む6つの内容
  　　3-2．「シナリオ」の特徴と問題点
  　まとめ
  
  第2章　制度内容が多様性に富む15地域
  　第1節　15地域の地域特性
  　　1-1．3つの基本的な地域特性
  　　1-1-1．地理的分布や人口の特徴および経済発展
  　　1-1-2．基本特性の全体的傾向の把握――1人当たりGDPと高齢化率を用いて15地域を4つの象限に
  　　1-2．介護保険の構築や施行に関わる2つの地域特性
  　　1-2-1．医療財政の貧富
  　　1-2-2．介護サービスの整備程度
  　第2節　15地域の介護保険制度の仕組み
  　　2-1．制度の仕組みの捉え方――「分析的フレームワーク」の活用
  　　2-2．保障対象者の範囲
  　　2-2-1．被保険者の範囲――都市従業員を優先的に保障し、段階的に市民へと拡大
  　　2-2-2．給付対象者――重度要介護者への傾斜
  　　2-3．介護給付――現物給付を主としながら、現金給付を併給するケースも
  　　2-4．介護サービス供給――供給主体は主に保険者の指定を受けた事業者
  　　2-5．介護財政――医療保険の財政を活用する傾向
  　まとめ
  
  第3章　類型化と日本との比較からみる15地域の介護保険の特徴
  　第1節　多様性をもつ15地域の介護保険制度の明瞭化――日本との比較を通して
  　　1-1．日本の介護保険制度の内容
  　　1-2．日本と15地域の相違点
  　　1-2-1．保障対象者――範囲の規定基準の相違
  　　1-2-2．介護給付――現物と現金給付の併給の有無
  　　1-2-3．介護サービス供給――供給プロセスの異なり
  　　1-2-4．介護財政――財源および構成の大きな隔たり
  　第2節　制度設計の特徴――類型化を通して
  　　2-1．類型化の基準――介護保険料と介護給付
  　　2-2．制度の4つの類型
  　　2-2-1．タイプA――「高保険料高給付」型
  　　2-2-2．タイプB――「低保険料高給付」型
  　　2-2-3．タイプC――「低保険料低給付」型
  　　2-2-4．タイプD――「高保険料低給付」型
  　第3節　地域特性に合わせた分析――4つの象限と4つの類型の対応関係
  　まとめ
  
  第Ⅱ部　中国における持続可能な介護保険制度の枠組みの提起
  
  第4章　介護保険制度の「持続可能性」の定義および諸要素
  　第1節　理論的検討
  　　1-1．「持続可能性」とは
  　　1-2．持続可能性をもつ公的介護保険制度をめぐって
  　　　1-2-1．社会保険と介護
  　　　1-2-2．持続可能性のある公的介護保険制度の定義と5つの要素
  　第2節　日本の経験から中国に示唆するもの
  　　2-1．日本の介護保険制度の持続可能性の検討
  　　2-2．日本の介護保険制度の持続可能性をめぐる論点（争点）
  　　　2-2-1．制度導入の準備段階――保険の属性、保障範囲、現金給付
  　　　2-2-2．制度導入以降――介護財政、介護人材
  　　2-3．日本の経験が中国に示唆を与える3つの要点
  　　　2-3-1．少子高齢化の深刻化を見込んだ制度設計の必然性
  　　　2-3-2．健全な介護財政の構築と維持
  　　　2-3-3．介護ニーズに対応できる介護サービスと介護人材の量と質の整備
  　まとめ
  
  第5章　持続可能な介護保険制度の枠組みの提起
  　第1節　15地域の制度の持続可能性の検討
  　　1-1．①一定期間――事後的評価と事前的予測
  　　1-2．②介護財政の収支バランス――医療財政の継続活用の可能性
  　　1-3．③介護ニーズ――独自・国の要介護認定基準にも課題
  　　1-4．④介護給付――医療的ケアの支給
  　　1-5．⑤サービス供給――指定事業者と介護人材の不足
  　第2節　枠組みの提起
  　　2-1．15地域の制度持続可能性の総合的評価
  　　2-2．3つのパターン
  　　　2-2-1．パターン①――制度の起動重視
  　　　2-2-2．パターン②――介護財政重視
  　　　2-2-3．パターン③――介護ニーズ・給付重視
  　まとめ
  
  終章　中国における持続可能な介護保険制度の構築の方向性
  　第1節　本書のまとめ
  　　1-1．高齢化対策として打ち出された介護保険パイロット事業
  　　1-2．15地域の介護保険制度はバラエティ豊かなもの
  　　1-3．日本との比較と類型化を通した15地域の介護保険制度の特徴の明確化
  　　1-4．持続可能性のある介護保険制度の5つの要素
  　　1-5．15地域の介護保険制度の持続可能性の検討
  　　1-6．中国の持続可能性のある介護保険制度の枠組みの3つのパターン
  　第2節　中国の介護保険制度の構築・施行の方向性
  　　2-1．制度の構築に向けた提案――複数の制度枠組みの承認
  　　2-2．制度の施行に向けた提案――介護人材養成の財政支援
  　第3節　本書の学術的意義および研究の限界
  
  　【参考文献】
  　【参照資料】
  　索引
  　あとがき

• 内容紹介

  少子高齢化が急速に進む中国では、家族による介護が崩壊し、要介護高齢者の福祉への関心が高まっている。政府は高齢者福祉に関連する法律や政策などの整備に力を入れるようになった。本書は介護保険を扱い、中国の高齢者福祉の方向性を考察していく。

• 著者紹介（「BOOK著者紹介情報」より）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）

  楊 慧敏(ヨウ ケイビン)
  中国四川省生まれ。博士（社会福祉学／同志社大学）。現在、同志社大学大学院社会学研究科外国人留学生助手、大阪公立大学都市研究・防災研究センター特別研究員

• 著者について

  楊　慧敏 (ヨウ ケイビン)
  中国四川省生まれ。
  博士（社会福祉学／同志社大学）
  現在　同志社大学大学院社会学研究科外国人留学生助手、大阪公立大学都市研究・防災研究センター特別研究員
  主著：「日本のセーフティネット――社会手当の国際比較を兼ねて」『労働調査』、2020年（共著）、「中国の介護保険パイロット事業の課題」『Int’lecowk』2021年、「日本における社会保障制度の所得再分配機能――カクワニ係数を用いて」『福祉政策研究入門　政策評価と指標　第2巻　格差と不利／困難のなかの福祉政策』2022年（共著）など。

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