細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026  [単行本]
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出版社:南江堂
販売開始日: 2026/03/10
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細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026  の 商品概要

  • 目次

    【書評】
    「大幅な進化を遂げた実践的ガイド」
     本書は,日本神経学会および日本神経感染症学会による監修のもと編纂された,細菌性髄膜炎と単純ヘルペス脳炎に関する診療ガイドラインの合本改訂版である.前版である『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』『単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017』から内容が大きく刷新されており,日常診療において直面する緊急性の高い神経感染症に対し,最新の知見に基づく診療の指針を提供する待望の一冊である.

     今回の改訂版の最大の特徴は,日常診療の流れを視覚的に理解できる4つのフローチャートが提示されている点にある.具体的には,「臨床症候より細菌性髄膜炎が疑われた場合の診療手順」「細菌性髄膜炎の検査・治療フローチャート」「単純ヘルペス脳炎の診療フローチャート」,そして「単純ヘルペス脳炎治療後に症状増悪・再発を認めた場合の対応」である.これらはいずれも非常に有用であり,最新のエビデンスを踏まえて構成されている.たとえば,「臨床症候より細菌性髄膜炎が疑われた場合の診療手順」においては,近年普及が進むFilmArray®髄膜炎・脳炎パネルや,抗補体薬使用の有無といった要因が反映されている.また「単純ヘルペス脳炎治療後に症状増悪・再発を認めた場合の対応」では,感染後自己免疫性脳炎の診断と治療という,臨床現場が直面する新たな課題にも適切に対応している.

     本書は全編を通じてクリニカルクエスチョン(CQ)形式を採用しており,疫学から病態,検査,診断,治療に至るまで明確な回答が提示されている.とくに治療の項目では推奨グレードが明記されており,多忙な臨床現場においても診療方針を整理しやすい構成となっている.前半の「細菌性髄膜炎」の章では,成人と小児それぞれに対する経験的治療や起炎菌判明後の抗菌薬治療,デキサメタゾン併用の適応について詳細な指針が示されている.さらに,「どのような場合に腰椎穿刺を行ってはいけないのか(CQ1-6)」「腰椎穿刺が遅れた場合,治療を開始すべきか(CQ1-7)」といった臨床現場で直面しやすい課題にも的確に応えている.また,Hibワクチンや肺炎球菌・髄膜炎菌ワクチンによる予防効果と集団免疫への寄与(第6章),脳梗塞や難聴といった合併症・後遺症のリスク因子(第7章)まで網羅的に扱われている.

     後半の「単純ヘルペス脳炎」の章においても,宿主の遺伝要因(CQ 2-2)からウイルス核酸検出法の活用(CQ 2-7),アシクロビル耐性株の検査(CQ2-8)に至るまで,専門的知見が体系的に整理されている.治療面では,アシクロビルや副腎皮質ステロイド薬の投与方針に加え,治療効果が得られない難治例への対応(CQ2-14,2-18)が成人と小児それぞれについて示されている.とくに近年重要視されている「単純ヘルペス脳炎後の自己免疫性脳炎(CQ2-11)」の鑑別や臨床的特徴についても最新の知見が反映されている.さらに,リハビリテーションやサポートサービス(CQ2-25,2-26)といった発症後のケアにも配慮がなされている.

     総じて本書は,迅速かつ的確な初期対応が患者の生命予後および機能予後を大きく左右するこれら二つの重篤な疾患において,最新の科学的根拠に基づいた信頼できる指針を提示するものである.前版から大幅な改訂が加えられており,脳神経内科医や感染症専門医のみならず,救急医,小児科医,一般内科医など,幅広い医療従事者にとって有用な一冊として推奨できる.

    臨床雑誌内科138巻1号(2026年7月号)より転載
    評者●下畑享良(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 教授)


    【序文】
     細菌性髄膜炎および単純ヘルペス脳炎は,迅速かつ的確な初期治療の有無が患者の予後を決定づける極めて重大な中枢神経感染症である.両疾患はいずれも「 neurological emergency( 神経救急疾患)」 として位置づけられ,診断の遅れや治療開始の遅延は致命的な転帰や重篤な後遺症をもたらしうるため,医療従事者には迅速な診断と治療介入が強く求められる.

     前回の診療ガイドライン( 細菌性髄膜炎2014年版,単純ヘルペス脳炎2017年版) では,初期治療の遅延による転帰不良を防止すべく,エビデンスに基づいた実践的な指針と診療フローチャートを提示し,臨床現場における診療水準の向上と標準化に重要な役割を果たしてきた.

     しかしながら,この10 年間で感染症診療を取り巻く状況には劇的な変化が生じている.小児定期予防接種の充実,特に肺炎球菌ワクチンおよびインフルエンザ菌b 型ワクチンの導入により,本邦における細菌性髄膜炎の疫学構造は根本的に変容し,起炎菌の頻度や年齢分布が大きく変化している.また,薬剤耐性菌の世界的拡散とその地域格差の拡大は,従来の画一的な治療プロトコールでは対応困難な状況を生み出しており,地域の耐性菌サーベイランスデータや患者背景を考慮した個別化された治療戦略が不可欠となっている.

     診断技術においては,2022 年のFilmArray 髄膜炎・脳炎パネルの保険収載により,従来困難であった病原体の迅速診断が可能となった.この技術革新は診断精度と迅速性を飛躍的に向上させる可能性を秘めているが,一方で結果の適切な解釈と臨床応用には慎重な判断が求められる.

     さらに,近年注目される新たな臨床課題として,抗補体薬使用患者における髄膜炎菌感染症の高リスク化や,単純ヘルペス脳炎治療後に発症しうる自己免疫性脳炎との鑑別診断があげられる.これらの多様化する課題に対応するためには,最新の病態知識に基づく診療体制の整備が急務である.

     以上の背景を踏まえ,今回,細菌性髄膜炎および単純ヘルペス脳炎の2 つのガイドラインを統合し,「細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026」 として新たに策定した.本ガイドラインは,日本神経学会および日本神経感染症学会の監修のもと,各領域の専門家が参画し,最新の学術的知見と臨床現場の実態を統合して構築したものである.

     なお,本ガイドラインは診療の標準化と質の向上を目的として作成されているが,個々の症例における臨床判断を拘束するものではなく,医師の裁量を尊重しつつ,診療の支援となることを意図している.読者諸賢におかれては,本ガイドラインを最大限に活用いただき,より良い診療の一助としていただければ幸いである.

    2026 年1 月
    細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン作成委員会 委員長
    中嶋 秀人


    【目次】
    [1. 細菌性髄膜炎]
     第1章 細菌性髄膜炎の疫学
      CQ 1-1 細菌性髄膜炎の発症率と年齢層別の主要起炎菌はどのようになっているのか?

     第2章 細菌性髄膜炎の症状・症候
      CQ 1-2 成人の細菌性髄膜炎の症状・症候にはどのようなものがあるか?
      CQ 1-3 小児の細菌性髄膜炎の症状・症候にはどのようなものがあるか?

     第3章 細菌性髄膜炎の診断
      CQ 1-4 細菌性髄膜炎を疑った場合どのように診断プロセスを進めるのか?
      CQ 1-5 遺伝子検査はどのように活用するか?
      CQ 1-6 どのような場合に腰椎穿刺を行ってはいけないのか?
      CQ 1-7 腰椎穿刺が遅れた場合,治療を開始すべきか?

     第4章 細菌性髄膜炎の鑑別診断
      CQ 1-8 成人の細菌性髄膜炎と鑑別を考慮すべき疾患にはどのようなものがあるか?
      CQ 1-9 小児の細菌性髄膜炎と鑑別を考慮すべき疾患にはどのようなものがあるか?

     第5章 細菌性髄膜炎の治療
      1.成人の治療
       CQ 1-10 成人の細菌性髄膜炎に対する経験的治療はどのように行うか?
       CQ 1-11 成人で起炎菌が判明したあと,どのような抗菌薬を使用するのか?
       CQ 1-12 成人でデキサメタゾンの追加併用はどのように行うか?
      2.小児の治療
       CQ 1-13 小児の細菌性髄膜炎に対する経験的治療はどのように行うか?
       CQ 1-14 小児で起炎菌が判明したあと,どのような抗菌薬を使用するのか?
       CQ 1-15 小児でデキサメタゾンの追加併用はどのように行うか?
      3.その他
       CQ 1-16 浸透圧利尿薬や低体温療法などの補助治療は有用か?
       CQ 1-17 家庭内接触者に対する予防的抗菌薬治療は有用か?
       CQ 1-18 抗補体薬を使用する患者に髄膜炎菌感染症の対応はどのように行うのか?

     第6章 細菌性髄膜炎のワクチン
      CQ 1-19 細菌性髄膜炎の予防にHibワクチンと肺炎球菌ワクチンはどれくらい有用か?
      CQ 1-20 細菌性髄膜炎のワクチンは集団免疫に有用か?
      CQ 1-21 髄膜炎菌ワクチンはどのようなときに用いるか?
      CQ 1-22 細菌性髄膜炎の回復後のワクチン接種は有用か?

     第7章 細菌性髄膜炎の合併症・後遺症・転帰
      CQ 1-23 成人の細菌性髄膜炎の合併症・後遺症にはどのようなものがあるか?
      CQ 1-24 成人の細菌性髄膜炎の転帰影響因子は何か?
      CQ 1-25 小児の細菌性髄膜炎の合併症・後遺症にはどのようなものがあるか?
      CQ 1-26 小児の細菌性髄膜炎の転帰影響因子は何か?
      CQ 1-27 細菌性髄膜炎における脳梗塞のリスク因子は何か?
      CQ 1-28 細菌性髄膜炎における難聴のリスク因子は何か?

     第8章 細菌性髄膜炎患者のフォローアップ・サポート
      CQ 1-29 成人例に対しフォローアップはどのように行うのか?
      CQ 1-30 小児例に対しフォローアップはどのように行うのか?

    [2. 単純ヘルペス脳炎]
     第1章 単純ヘルペス脳炎の疫学
      CQ 2-1 単純ヘルペス脳炎の発症率はどの程度か?(諸外国との比較も含め)

     第2章 単純ヘルペス脳炎の病態
      CQ 2-2 単純ヘルペス脳炎になりやすい宿主遺伝要因はあるか?

     第3章 単純ヘルペス脳炎の症状・症候
      CQ 2-3 成人の単純ヘルペス脳炎の症状・症候にはどのようなものがあるか?
      CQ 2-4 小児の単純ヘルペス脳炎の症状・症候にはどのようなものがあるか?

     第4章 単純ヘルペス脳炎の診断
      CQ 2-5 単純ヘルペス脳炎を疑った場合どのように診断プロセスを進めるのか?
      CQ 2-6 画像診断は鑑別に有用か?
      CQ 2-7 ウイルス核酸検出法はどのように活用するか?
      CQ 2-8 アシクロビル耐性株はどのように検査をするのか?

     第5章 単純ヘルペス脳炎の鑑別診断
      CQ 2-9 成人の単純ヘルペス脳炎と鑑別を考慮すべき疾患にはどのようなものがあるか?
      CQ 2-10 小児の単純ヘルペス脳炎と鑑別を考慮すべき疾患にはどのようなものがあるか?
      CQ 2-11 単純ヘルペス脳炎後の自己免疫性脳炎にはどのような特徴があるか?

     第6章 単純ヘルペス脳炎の治療
      1.成人の治療
       CQ 2-12 成人でアシクロビルの投与はどのように行うか?
       CQ 2-13 成人でアシクロビル以外の薬剤は有用か?
       CQ 2-14 成人でアシクロビルを投与しても効果がみられない場合はどうしたらよいか?
       CQ 2-15 成人の単純ヘルペス脳炎における副腎皮質ステロイド薬の併用は推奨されるか?
      2.小児の治療
       CQ 2-16 小児でアシクロビルの投与はどのように行うか?
       CQ 2-17 小児でアシクロビル以外の薬剤は有用か?
       CQ 2-18 小児でアシクロビルを投与しても効果がみられない場合はどうしたらよいか?
       CQ 2-19 小児の単純ヘルペス脳炎における副腎皮質ステロイド薬の併用は推奨されるか?

     第7章 単純ヘルペス脳炎の予防
      CQ 2-20 単純ヘルペス脳炎再発の予防策として抗ウイルス薬の長期使用は有用か?

     第8章 単純ヘルペス脳炎の合併症・後遺症・転帰
      CQ 2-21 成人の単純ヘルペス脳炎の合併症・後遺症にはどのようなものがあるか?
      CQ 2-22 成人の単純ヘルペス脳炎の転帰影響因子は何か?
      CQ 2-23 小児の単純ヘルペス脳炎の合併症・後遺症にはどのようなものがあるか?
      CQ 2-24 小児の単純ヘルペス脳炎の転帰影響因子は何か?

     第9章 単純ヘルペス脳炎の患者のフォローアップ・サポート
      CQ 2-25 成人例に対しどのようなリハビリテーションやサポートサービスがあるか?
      CQ 2-26 小児例に対しどのようなリハビリテーションやサポートサービスがあるか?
  • 内容紹介

    日本神経学会・日本神経感染症学会による,細菌性髄膜炎,単純ヘルペス脳炎のオフィシャルなガイドラインの合本改訂版.新たなワクチンの導入による細菌性髄膜炎の疫学の変化,診断技術の進歩,補体阻害剤の使用の広がりによるリスク上昇といった,この間の変化を盛り込み情報を更新.疫学,病態,検査,診断,治療などの診療上問題となるクリニカルクエスチョン(CQ)に対して明確に回答し,治療においては推奨グレードを明記し対応の指針を示した.

細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026  の商品スペック

商品仕様
出版社名:南江堂
著者名:日本神経学会(著)/日本神経感染症学会(著)/「細菌性髄膜炎 単純ヘルペス脳炎診療ガイ(著)
発行年月日:2026/03
ISBN-10:4524275983
ISBN-13:9784524275984
旧版ISBN:9784524252220
判型:規小
発売社名:南江堂
対象:専門
発行形態:単行本
内容:医学・薬学・歯学
言語:日本語
ページ数:264ページ
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