古代豪族 大神氏 ―ヤマト王権と三輪山祭祀（筑摩書房） [電子書籍]

古代豪族 大神氏 ―ヤマト王権と三輪山祭祀（筑摩書房） の 商品概要

• 大神（おおみわ）氏はヤマト王権の国家祭祀を担った氏族である。平城京や平安京などの都城が築かれる以前、五世紀後半から六世紀代は三輪山周辺が政治の舞台であった。そうした時代に、大神氏は三輪山の神に対する祭祀を職掌として台頭した。また大神氏の祖先は日本で最初の疫病を鎮めたと伝えられており、その伝承を語り継いで後世まで命脈を保ってきた。その信仰は現在の大神神社にまでつながっている。大神氏の最新研究によって、古代の王権や祭祀のあり方を明らかにする。
  

• 目次

  はじめに／第一章　大神氏はどのような道のりを歩んだのか／１　伝承上の大神氏／『古事記』のオオタタネコ伝承／『日本書紀』のオオタタネコ伝承／大神氏の「奉事根原」／「共通の祖」と「単独の祖」／２　大神氏の勃興／実在した最初の大神氏／少子部??の伝承／衣縫兄媛と引田部赤猪子の伝承／「四月祭」の起源／３　大神氏の台頭と衰退／大神氏と「崇仏・廃仏論争」／敏達天皇の寵臣として台頭／勢力の衰退／上宮王家に出仕／４　大神氏の再興／復調の兆し／壬申の乱での活躍／理官の誄を奏上／伊勢行幸の諫止／左遷と政界復帰／律令制下の大神氏／第二章　大神氏はどのように全国へ広がったのか／１　大神氏の同族／複姓と氏族構造／大和国の同族（１）／大和国の同族（２）／山城国・摂津国の同族／畿外の同族／氏族再編の動き／２　大神氏の分布／三輪山の神の分祀・勧請／三輪山の神と対外交渉／三輪山の神と西国進出／三輪山の神と東国進出／ミワ系氏族と人制・部民制／ミワ系氏族と国造制／第三章　三輪山の神は地方でどのように祭られたのか／１　美和神社の神階とその変遷／上野国の官社／美和神社の神階／『上野国神名帳』の美和神社／一宮本・総社本・信友本の相違／２　『上野国交替実録帳』の美和神社／「正一位」と「従一位」／断簡Ｃ４と断簡Ｅの重複／断簡Ｃ４の復元／３　蝦夷の征討／軍神としてのオオモノヌシ／桓武朝の蝦夷征討／元慶の乱と美和神社／甲斐国・下野国の動向／第四章　大神氏は対外交渉にどう関わったのか／１　武蔵国高麗郡の設置／高句麗の遺民たち／高麗郡の設置理由／２　武蔵守としての大神狛麻呂／大神狛麻呂の経歴／「狛」と「高麗」の通用／山城国の大狛郷・下狛郷／武蔵守の影響力／３　大神氏と大神引田氏／三輪引田難波麻呂の高句麗派遣／奈良県桜井市の狛／対外交渉に従事した大神氏／４　大三輪真鳥の伝承／大矢田宿禰と大三輪真鳥／大三輪真鳥とオオトモヌシ／第五章　大神氏の祖先オオタタネコとは何者か／１　三輪山祭祀と須恵器／オオタタネコと陶邑／須恵器生産とミワ系氏族／大神氏の職掌／２　陶邑をめぐる大神氏と紀氏／陶邑窯跡群と大神氏／和泉国大鳥郡上神郷の神直氏／陶邑窯跡群と紀氏／３　オオタタネコ伝承の歴史的背景／大神氏と須恵器生産／同祖系譜の結節点／陶邑窯跡群をめぐる大神氏と鴨氏／第六章　三輪山の神はどのような性質を持っていたのか／１　国見儀礼の再検討／王朝交替説と二段解説／三輪山頂の夢占い／聖域としての三輪山／２　日神祭祀の再検討／神坐日向神社の鎮座地／笠縫邑の伝承／３　神の性質の重層性／神の性質の分類／国作り神話における三輪山の神／丹塗矢伝承と箸墓伝承／オオタタネコ伝承と苧環伝承／祟りを起こす三輪山の神／不可分な神の性質／第七章　大神氏は三輪山祭祀にどう関わったのか／１　三輪山祭祀遺跡群／大神神社の禁足地／山ノ神遺跡と奥垣内遺跡／祭祀遺物の年代／２　三輪山の表記の変化／「御諸山」と「三輪山」／『古事記』における三輪山の表記／『日本書紀』における三輪山の表記／３　大神氏と三輪山祭祀の関係／特牛の尻付の史料性／鎮花祭と大神祭（四月祭）／大神氏の盛衰と祭祀遺物の年代／あとがき
  
  

古代豪族 大神氏 ―ヤマト王権と三輪山祭祀（筑摩書房） の商品スペック