渡りの湊と申します。九年止まった織機を直し、亡き夫の織りかけの反物を、あなたの手で織り上げてはどうかと勧めてしまいました(Realize出版) [電子書籍]
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渡りの湊と申します。九年止まった織機を直し、亡き夫の織りかけの反物を、あなたの手で織り上げてはどうかと勧めてしまいました(Realize出版) [電子書籍]

谷崎あわ(著者)
価格:¥880(税込)
ゴールドポイント:176 ゴールドポイント(20%還元)(¥176相当)
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出版社:Realize出版
公開日時:2026年08月21日00:00:00からお読みいただけます。
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渡りの湊と申します。九年止まった織機を直し、亡き夫の織りかけの反物を、あなたの手で織り上げてはどうかと勧めてしまいました(Realize出版) の 商品概要

  • 渡りの湊、二十八。壊れて直らぬと言われた古い物を、道具箱ひとつで町から町へ直して回る渡り職人。だが湊がほんとうに直すのは物ではなく、その物に縛られて止まった人の時間のほうだ。初夏、湊は霧に沈む山あいの町・霧生に着き、畳んだ製糸場の一間を借りる。楢戸の冬吾からは、竈の前には立てたがまだ火を入れられずにいる、と省造の郵便で手紙が届く。湊自身、師匠の止まった懐中時計をいまだ胸に抱えたまま、その報せに胸を騒がせた。
    元織元の女主人・多喜の力織機は、九年前、夫が霧生織の反物を織り上げる途中でその前に倒れて死んで以来、半分だけ織られた反物を経糸に張ったまま止まっている。湊は機を直して経糸を張り直し、「あなたの手で織り上げれば区切りがつく」と多喜に織り上げを勧めて迫った。ところが動きだした機を前に、多喜は打ちのめされる。機を止めたまま夫の半端を守っていたかったのだ、勝手に区切りをつけさせるな、と。湊は二度目の過ちを悟る。ちょうどそのころ、冬吾からの二通目の手紙には「いつまでも待たせるのは酷だから、俺のことは忘れて次へ進んでくれ」と書かれていた。突き放されて初めて、湊は自分が多喜にしたことの痛みを知る。
    直すことも直さぬことも、自分が決めることではなかった。子どもの絶えた分教場に一人残る元教員・登の、鳴らなくなった足踏みオルガンを、湊は六年ぶりに鳴らす。それは遠い町へ出た教え子へ届けたい歌で、直したことがかえって登を軽くした――同じ「直す」手が、多喜には刃に、登には救いになった。湊は多喜に詫びるが、多喜は詫びは受けても、娘の佐世のことも湊のことも許すとは言わない。湊は経糸を元の緩みに戻し、半織りの反物を夫の残したとおりに機へ張り直した。そして突き放す冬吾へ「忘れはしない、待つのもやめない、ただ約束で縛りもしない」と返事を書き、道具箱の底の師匠の時計を六年ぶりに油紙から出して分解し、埃を払い油を差す――手入れはするが、ねじは巻かない。許されぬまま霧生を発つ湊の背に、登の送りの歌の余韻だけが、機の音の絶えた谷から細く追ってきた。
    本作は「渡りの湊」シリーズ第3巻(全4巻・完結)。

渡りの湊と申します。九年止まった織機を直し、亡き夫の織りかけの反物を、あなたの手で織り上げてはどうかと勧めてしまいました(Realize出版) の商品スペック

シリーズ名 渡りの湊
出版社名 Realize出版
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著者名 谷崎あわ
著述名 著者

    Realize出版 渡りの湊と申します。九年止まった織機を直し、亡き夫の織りかけの反物を、あなたの手で織り上げてはどうかと勧めてしまいました(Realize出版) [電子書籍] に関するレビューとQ&A

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