紙漉き十市(三) 郡代に紙を下の下と決められましたが、三千枚に値を書いて運び入れたら、三村の漉き手が毎年の等級を待たずに値を書きに来ます(Realize出版) [電子書籍]
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紙漉き十市(三) 郡代に紙を下の下と決められましたが、三千枚に値を書いて運び入れたら、三村の漉き手が毎年の等級を待たずに値を書きに来ます(Realize出版) [電子書籍]

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出版社:Realize出版
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紙漉き十市(三) 郡代に紙を下の下と決められましたが、三千枚に値を書いて運び入れたら、三村の漉き手が毎年の等級を待たずに値を書きに来ます(Realize出版) の 商品概要

  • 鶴巻の郡代役所の門前に、その年の紙の等級表が下がった。上物が一枚十二文、中物が八文、並物が五文、下物が三文、下の下が一文。楮ヶ谷村は、下の下である。上物はただ一つ、役所の御用漉き場だけについていた。
    同じ日に触れが出る。今年より郡内で漉かれた紙はすべて御用として郡代役所が買い上げる、郡の外へ出すことも郡内の店へ売ることもならぬ。買い上げの枠は、三万枚で六十貫文。
    須賀十市、二十九。写しは出さぬと言われて、その場で膝をついて表を書き取った。
    宇津木千枝は十四年ぶんの触書を四通集めてくる。買い上げの枚数は一万五千枚から二万枚、二万枚から三万枚へと増えている。ところが六十貫文という数字だけは、十四年ずっと同じところに書かれていた。一枚あたり四文だったものが、二文になっている。
    御用漉き場の頭・灰田平助、六十一。七人で年に三万枚を漉く。白皮の入りは二十四年、七十五貫のまま動いていない。原料が同じで枚数だけ倍になったのなら、薄くなったのは紙のほうである。納屋の隅には、十三年前に折れた簀が置いてあった。目が一寸に十六本。今の役所の紙は二十二本である。
    峠の向こうの六斗宿では、郡内で売ることも買うこともならぬというその一行のせいで、飛脚の荷札も、旅籠の宿帳も、質屋の質札も、いっせいに止まっている。困っている者の数だけは、はっきりと数えられた。
    十市は書付を一枚こしらえる。郡代役所書き役用、中判厚手、三千枚、一枚六文、〆て十八貫文。受け取らぬと戻された翌る日、十市は言った。──待ちません。日はこちらで切ります。値は、漉いた者が書く。葉月の二十日に運び入れる、と。
    深田、上小野、楮ヶ谷。三つの村の寄合所に十九人が集まり、板に自分の値と、その紙が何年もつかを書いて貼りはじめる。助郷の見直しをちらつかせに小者が来る村もある。書かない者もいる。書かない理由のほうが、たいてい筋は通っている。
    葉月二十日、霧の朝。三千枚が門前へ運び込まれる。受け取らぬと言う手代の後ろから、郡代その人が出てきて、紙を一枚だけ持ち上げた。
    値を決める表そのものを畳ませ、三万枚という数字が本当は何枚なのかを言い直させるまでの一年。
    【紙漉き十市 全十巻】一~四巻=村と領内/五~七巻=都と国/八~十巻=国の外。本巻は第一部の三冊目です。

紙漉き十市(三) 郡代に紙を下の下と決められましたが、三千枚に値を書いて運び入れたら、三村の漉き手が毎年の等級を待たずに値を書きに来ます(Realize出版) の商品スペック

シリーズ名 紙漉き十市
出版社名 Realize出版
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著者名 帆足いさな
著述名 著者

    Realize出版 紙漉き十市(三) 郡代に紙を下の下と決められましたが、三千枚に値を書いて運び入れたら、三村の漉き手が毎年の等級を待たずに値を書きに来ます(Realize出版) [電子書籍] に関するレビューとQ&A

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