紙漉き十市(十) 紙の値を決める席に一人で座れと言われましたが、席を空けたまま漉いたら、宿駅の荷方が来るたびに自分の在の札を探してくれます(Realize出版) [電子書籍]
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紙漉き十市(十) 紙の値を決める席に一人で座れと言われましたが、席を空けたまま漉いたら、宿駅の荷方が来るたびに自分の在の札を探してくれます(Realize出版) [電子書籍]

価格:¥913(税込)
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出版社:Realize出版
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紙漉き十市(十) 紙の値を決める席に一人で座れと言われましたが、席を空けたまま漉いたら、宿駅の荷方が来るたびに自分の在の札を探してくれます(Realize出版) の 商品概要

  • 席は一つでよいのです、と都築平右衛門は言った。座るのは一人です。国じゅうの紙の値を、その席に座った者が決める。決めたら触れを出して、その値で買い、その値で売る。それだけです。
    川口に建ちかけているのは、紙の値を決める会所である。平右衛門は七十二。座ってほしい相手として名指されたのは、須賀十市、三十六だった。
    この十年で、値を決める役を降りた席がいくつもある。降りたあとに残ったのは、漉いた者が自分で値を書くという形だけだった。その形を国の外まで持っていくには、まとめる者が要る。理屈は通っている。通っているから厄介だった。
    宇津木千枝、三十三。会所が集めた千二百八十の漉き場の調べ書を開き、数の重なりと数え方の食い違いを、その場で拾い出す。書役の名簿には、鹿野音羽と尾関又七の名があった。
    十市は返事をせず、刈り入れは霜月の十日にします、とだけ答えて村へ帰る。楮ヶ谷の川原では、水を張った漉き舟が十四に増えていた。三太は二十八。値の話をするときだけ、十市と同じ間で話すようになっている。才蔵は七十五で床についていて、自分の簀桁を十市に譲ろうとした。十市は受け取らない。
    医者が、冬までだと言いました。千枝がそう言ったのは、都の漉き場でのことだった。三人に診せて、三人目を信じることにしたのだという。いちばん長く胸に耳を当てた人ですから。字は一日に八枚まで。九枚目から線が震える。去年は十二枚、一昨年は十五枚だった。
    皐月の晦日、十市は四千七百枚を会所へ納め、六文という値と、その内訳を並べて見せる。会所開きの日、上座の机は空いたままだった。空いた机の上に、灰田平助が自分の紙の値を置き、布屋弥助が売値を置き、真木佐保が何年もつかを置いていく。
    壁の札は、四百十二枚になった。
    水無月の増水で村の川原が流され、寺の過去帳が濡れる。三冊のうち、厚紙で綴じた十七丁だけが残った。二十四年前に十市が初めて漉いた紙が、どこに綴じられていたのかも、その十七丁で分かる。
    値を決める席そのものを、誰も座らないまま無くしてしまうまでの一年。──十年をかけた話が、ここで終わります。
    【紙漉き十市 全十巻】一~四巻=村と領内/五~七巻=都と国/八~十巻=国の外。本巻が完結巻です。

紙漉き十市(十) 紙の値を決める席に一人で座れと言われましたが、席を空けたまま漉いたら、宿駅の荷方が来るたびに自分の在の札を探してくれます(Realize出版) の商品スペック

シリーズ名 紙漉き十市
出版社名 Realize出版
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ファイルサイズ 1.8MB
著者名 帆足いさな
著述名 著者

    Realize出版 紙漉き十市(十) 紙の値を決める席に一人で座れと言われましたが、席を空けたまま漉いたら、宿駅の荷方が来るたびに自分の在の札を探してくれます(Realize出版) [電子書籍] に関するレビューとQ&A

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