子買い納屋 九の巻 どちらの国にも通せぬと止められた女ですが、中州で欠け椀に小石を落として数えたら、中州の子が月に何度も関へ名を言いに来ます(Realize出版) [電子書籍]
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子買い納屋 九の巻 どちらの国にも通せぬと止められた女ですが、中州で欠け椀に小石を落として数えたら、中州の子が月に何度も関へ名を言いに来ます(Realize出版) [電子書籍]

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出版社:Realize出版
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子買い納屋 九の巻 どちらの国にも通せぬと止められた女ですが、中州で欠け椀に小石を落として数えたら、中州の子が月に何度も関へ名を言いに来ます(Realize出版) の 商品概要

  • 秋、ヨネはタケと三里半を歩いて境の市へ粟を買いに出た。境の市は五の日と十の日に立つ。隣国の升と自国の升では一升の量が違い、両替をすれば一割取られる。
    境の関の門をくぐると、番頭のサカタが理由を言わずに商人の荷を下ろさせていた。札を書く女のミサが言う。里が無い者は、書かん。書かんから、札にならん。
    土手の上から川を見ると、川の中の中州に煙が二本立っていた。宿場の人宿の主だった男が、いまはこの市にいて、こう言った。子じゃ。三十人ほどおると聞いた。両方の国から通されんからじゃ。
    十月十五日、関の門前で申し渡しがあった。──境中州に在る者、いずれの国の人別にも入れぬ。中州の者を、この関から通さぬ。理由は言わぬ、知らぬ、で終わった。群衆から声が上がる。柏木の子買いが来とるぞ。ヨネは前へ出て名乗った。
    十月二十五日、莚十五枚と米一斗を三度に分けて舟で運び、ヨネは中州へ渡る。数えるのに指では足りないので、縁の欠けた椀を持っていった。名を一つ聞いたら、平たい小石を一つ落とす。落ちた石は、二つ目からは石と石の当たる音になる。莚の上へあけて五つずつ並べると、列が六つできて四つ余った。三十四人である。上はウノ十五、下はヒナ一つ。
    十一月、ヨネは十六の年から一度も越えたことのない川を越えて、隣国の番所へ行った。隣国の帳は一戸に一枚で、欄が五つ、歳ではなく干支で書き、名の下に母の名を書く欄がある。東は生国、西は母の名。二つとも書けない子は、どこにも載らない。
    十一月の夜、ヨネは納屋の土間の床板に炭で欄を描いた。東の帳の六欄と、西の帳の五欄。歳と干支のあいだには、そのまま移せない印として線を引く。スゲは半紙四枚に三十四人ぶんの控えを書き上げ、四枚目の下六行を空けておいた。増えるからだ、と言う。四枚を重ねずに並べて置くと、埋まっていない欄が横へ四つぶん続いて見える。
    掟にはこうある。一人を二つの帳に載すべからず。だがこの一行には、番号も、年月も、書いた者の名も無い。
    東の瀬が例年より二十日早く凍りはじめ、渡し綱の割竹三筋のうち二筋が裂けた。
    【子買い納屋 全十巻】一~四巻=里と村と宿場と郡/五~七巻=領と隣領と王都/八~十巻=公儀と国境と、その一語。本巻は第三部の二冊目です。

子買い納屋 九の巻 どちらの国にも通せぬと止められた女ですが、中州で欠け椀に小石を落として数えたら、中州の子が月に何度も関へ名を言いに来ます(Realize出版) の商品スペック

シリーズ名 子買い納屋
出版社名 Realize出版
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ファイルサイズ 1.8MB
著者名 更科ひばり
著述名 著者

    Realize出版 子買い納屋 九の巻 どちらの国にも通せぬと止められた女ですが、中州で欠け椀に小石を落として数えたら、中州の子が月に何度も関へ名を言いに来ます(Realize出版) [電子書籍] に関するレビューとQ&A

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