飯を三日返された一膳飯屋の女将ですが、竈の口を積み直したら、庖丁を握らぬ雇い人が日に三十四度も半歩の道をあけてくれます(Realize出版) [電子書籍]
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飯を三日返された一膳飯屋の女将ですが、竈の口を積み直したら、庖丁を握らぬ雇い人が日に三十四度も半歩の道をあけてくれます(Realize出版) [電子書籍]

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出版社:Realize出版
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飯を三日返された一膳飯屋の女将ですが、竈の口を積み直したら、庖丁を握らぬ雇い人が日に三十四度も半歩の道をあけてくれます(Realize出版) の 商品概要

  • 「女将さん、これ、芯があるよ」--丼の底のあたりに、透きとおった飯粒がまじっている。三日つづいていた。
    網野すみ、四十五。河岸の一膳飯屋を二十六年やっている。四文引き、八文引きで返した銭が三日で六十文。捨てた芯飯が二升と一合で八十四文。締めて百四十四文は、この店の薪の八日ぶんだった。原因は水ではなかった。へっついの真ん中の焚き口が、去年の秋に泥で埋めてごまかしたところから割れて、内の壁が四寸落ちていた。落ちた土を、すみが毎朝せっせと灰と一緒に掻き出していたのである。
    柏木竜次、三十八。この店で五年、水を汲み、薪を割り、米を研ぎ、釜を洗い、井戸を浚い、灰を掻き、板の間を拭き、縄暖簾を出してしまう。桶を下ろす音がしない。すみが丼を両手に持って土間を横切るとき、この男はいつのまにか半歩ぶん道をあけている。あけたことを言わないので、こちらも礼を言いそこねる。それが五年つづいている。
    庖丁だけは握らない。七年前に自分で決めて、人に言って、決まりにした誓いだという。理由は訊いていない。訊けば働き手を一人失うと、雇った年のすみは思った。
    竈の口を半分ずつ積み直し、櫃を二つに分け、井戸を浚い、請け状に請け人として名を連ねる。夜、裏口の柱の陰で寝ている子どもが、丼を両手で受け取って掻き込む。--十二月から翌年の夏まで、この店に立つ者が一人ずつ増えていく一年。時代ライト文芸・全10章完結。

飯を三日返された一膳飯屋の女将ですが、竈の口を積み直したら、庖丁を握らぬ雇い人が日に三十四度も半歩の道をあけてくれます(Realize出版) の商品スペック

出版社名 Realize出版
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著者名 望月とまり
著述名 著者

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