紅葉写真・秋の風景の撮り方特集

紅葉写真の撮り方と、おすすめアイテムをご紹介。色づき具合や光の当たり方で、さまざまな表情を見せる秋の木々の姿。その鮮やかさをそのままに写真に収めてみましょう。

▼紅葉写真に必要な機材を準備しましょう

■カメラ本体

紅葉を撮影するのに大げさな機材は必要ありません。構図や光の当て方を工夫することで、誰にでもきれいな写真を撮ることができます。とはいえ同じシチュエーションで撮影したものを比べると、葉の一枚一枚までしっかり描写できている写真は、見た人にさらに鮮烈な印象を与えます。より美しい紅葉写真を撮るなら、高画素で優れた解像力、そして高感度に強く、高画質なまま手ブレや被写体ブレを防げる、この2つの要素を持っているカメラがおすすめです。

おすすめミラーレスカメラ
α7C II
ソニー α7C II

コンパクトボディに最先端のシステムを搭載。露出制御と色再現性の精度・安定性がさらに向上し、明るさの調整が難しいシーンも目で見たままに切り取れます。

EOS R8
キヤノン EOS R8

フルサイズEOS Rシリーズの中でも最軽量モデル。決定的な瞬間を捉える高速AF・高速連写と優れた高感度性能で、風に揺れる紅葉もシャープに描くことが可能です。

Z 5
ニコン Z 5

フルサイズの中でも初級から中級まで幅広いニーズに対応できるベーシックモデル。ファインダーの見え味も自然なため、一眼レフからの乗り換えにもおすすめです。

ZV-E10 II
ソニー ZV-E10 II

動画撮影機能を突き詰め、多彩で高画質な撮影性能を生かした本格的な映像表現が可能な一台です。屋外撮影の風切り音なども高性能なノイズカットで綺麗に処理します。

OM-5
OM SYSTEM OM-5

悪天候にも強い防塵防滴ボディなどプロ仕様モデルの信頼性を凝縮。レンズと組み合わせても非常にコンパクトに持ち歩けるので、登山に最適です。

おすすめコンパクトカメラ・ウェアラブルカメラ
VLOGCAM ZV-1 II
ソニー VLOGCAM ZV-1 II

高性能マイクや自撮り動画に特化した機能を備えたモデル。親指でさまざまな操作が行えるシューティンググリップを同梱。

Osmo Action 5 Pro
DJI Osmo Action 5 Pro

豊富なマウントでさまざまな場所に取り付けて、ユニークなアングルで撮影可能。散策中などの大きいブレや傾きもしっかり抑えます。

PowerShot ZOOM
キヤノン PowerShot ZOOM

高倍率の単眼鏡に静止画・動画の撮影機能をプラス。焦点距離は100mm/400mm/800mmから選択できます。

■交換レンズ

紅葉の撮影で重要になるのがシャッタースピードです。構図が調整しやすいズームレンズが便利ですが、その中でも開放F値の小さい明るいレンズがおすすめです。また、キットレンズより広く撮れる、広角側が24mm(35mm換算)程度からのズームレンズであれば、さらにダイナミックに撮影できます。より高画質に撮影したいなら、解像感と立体感のある描写が得られる単焦点レンズがもう1・2本あるとベターです。
●こちらもチェック → 交換レンズの選び方

交換レンズに合わせて用意しておきたいアイテム


晴れた日の撮影では、光の反射の影響で全体的に白っぽくなり、紅葉の鮮やかさが出せない場合があります。PLフィルターを用いることでこうした余計な光の反射を抑え、メリハリのある写真にできます。また、空の青さを深くし、紅葉とのコントラストを強調する効果もあります。水面に反射する光にも有効なので、主題に合わせて使用することで、より効果的に力を発揮します。


> より詳しいC-PLフィルターの効果と使い方はこちらから




[C-PLの効果:反射の除去/コントラストアップ]


普段の撮影と違いあえて逆光で撮影することも多い紅葉写真では、レンズフードの役割が大きくなります。フレアやゴースト、全体のコントラストなど、気になる画質の低下を軽減してくれるので、必ず一緒に持っていくべきアクセサリです。また、レンズフードのないコンパクトデジカメで撮影する時には、黒い画用紙などを手に持って日差しを遮ることで、同様の効果が得られます。





[フードなしの失敗例:ゴースト/コントラスト低下]

■三脚・雲台

落ち葉でふかふかになった土の上や多少の風でも安定する、脚のしっかりした三脚を用意しましょう。広角レンズではわずかな水平のズレが大きな違和感を生んでしまうので、しっかり構図が決められる3ウェイ雲台タイプがおすすめです。地面に近い位置から撮影したいなら、ローアングルに対応しているかも重要な要素です。
三脚を使用して撮影する時には手ブレ補正をオフにしなければならないので、レリーズ・リモコンも用意しておけば万全です。

■朝夕は冷え込みます。防寒対策はしっかりと!

▼紅葉の撮影に出掛けましょう

目にも鮮やかな紅葉ですが、見たままの感動をそのまま写真にするにはコツが必要です。また、意識せずに撮影していると似たような写真になりがちなのも、紅葉の難しさです。その代わり、紅葉自体は逃げたり隠れたりしないので、じっくりと試行錯誤しながら撮影を楽しむのもいいと思います。

■紅葉写真のコツ1:紅葉写真向けにカメラを設定する

●シャッタースピード
木々は常に風に煽られているため、被写体ブレが起きやすいことに注意してください。被写体ブレはカメラの手ブレ補正では防げないので、極力速く設定する必要があります。

●ISO感度
森林の中は薄暗く、そのままではどうしてもシャッタースピードは遅くなってしまいます。400~800など、ある程度ISO感度は高めに設定しておくと失敗しにくくなります。
また、奇跡的に無風に近い場合は、ディティールを重視して低くするという撮影方法もあります。

●絞り
開放近くならシャッタースピードも速くできるので楽に思えますが、被写界深度が浅くなるので、撮る角度によっては狙ったとおりの場所にピントが来ない場合もあります。
近づいて撮るなら開けて、引いて撮るなら少し絞り込んで撮ると失敗を防げます。

●露出補正
一口に紅葉といっても、木によって葉の色は異なります。また、秋から冬にかけては日中と夕暮れ時でも条件は大きく変わってきます。カメラのオートモードは画面全体が暗めだと判断すると明るめに、明るめだと判断すると暗めに写るよう設定されます。そのため、目で見るのと写すのではギャップが生じることも。被写体に合わせて露出補正をかけるだけで、イメージに近い明るさにできます。


[露出:オート]

[露出:-2/3]

楓など赤い葉がメインとなる時は、カメラが全体的に暗いと判断して明るく写る設定になります。露出を低く補正することで、より締まった赤になります。


[露出:オート]

[露出:+1/3]

銀杏など黄色い葉は、逆に暗い設定になるので、露出を+に補正します。目で見るよりも少し明るくても、雰囲気のいい写真になります。


[空に合わせて測光]

[葉に合わせて測光]

逆光での撮影は特に露出が難しく、どこに明るさを合わせるかによって全く仕上がりが変わります。構図に合わせた補正が重要です。

●ホワイトバランス
ホワイトバランスの変更で、仕上がりの印象を大きく変えることができます。光源の色に合わせて、目で見たイメージに近づけるのが通常の使い方ですが、時にはセオリーから外れた設定で、独特の雰囲気を出すこともできます。


[WB:オート]

[WB:晴天・太陽光]

ホワイトバランスを晴天に変更。朝の霞がかった中で撮ったようなひんやりした雰囲気を出しました。本当に朝撮るとオートでも右ような印象になるので、色味を強くするときは日陰・曇天モードで撮影します。


[WB:オート]

[WB:曇天・日陰]

ホワイトバランスを曇天に変更し、画面全体の赤みを強調しました。ライトアップされた紅葉は目で楽しむにはいいですが、写真にすると途端に味気なくなります。ひと工夫加えることで、雰囲気はがらりと変わります。

■紅葉写真のコツ2:光の当たり方を意識する

太陽の位置、光の当たり方で、紅葉は表情を変えます。目で見たままの鮮やかさなら順光で、葉に透けた光を撮りたいなら逆光で。そして、サイド光で撮ると影が立体感を出してくれます。また、天候によっても印象は大きく変わります。晴れた日は紅葉と空の色の対比が美しく、曇りや雨の日も、余計な影や光の反射がなくなることで、晴れた日とは一味違うしっとりとした雰囲気で撮影できます。曇りや雨の日は、なるべく空を入れない構図にした方がきれいな印象で撮れます。


[順光]

[逆光]

[サイド光]

[晴天]

[曇天]

■紅葉写真のコツ3:主題・構図・アングルを工夫する

遠景で山全体を収める、森林に入って内側から撮るなど、場所が変われば撮れるものも撮り方も変わってきます。見上げるだけが紅葉写真ではありません。足元の落ち葉や並木道も、いい味を出しています。そして、遠くの山や川、電車などを、紅葉を引き立て役にして写真を撮るのもこの季節の醍醐味といえます。
レンズの画角・ズーム倍率を変えるだけでは、変わり映えのしない写真になりがちです。紅葉の写真は自分の足で、ここぞという撮影スポットを見つけることが大切です。

紅葉というよりも、後ろの山と光芒がメインです。右上の色の滲みはパープルフリンジ。センサーの小さいコンパクトデジカメや絞り解放だと出ることがあります。少し感度を上げて絞り込むことで緩和されます。

銀杏のじゅうたん。雨に降られたり踏み均されたりすると汚くなるので、晴れの続いた日が狙い時です。気持ち明るめに露出補正をかけると、爽やかに仕上がります。

木全体を撮ると緑と赤とが混ざり合ってうるさいので、色づいてきた葉をピンポイントで。前ボケ・後ろボケを出すなら、望遠レンズや中望遠マクロがおすすめです。

ひらひらと落ちてきたもみじの葉……ではなく、クモの巣に引っかかっていたものだったと思います。マクロで前後をぼかして余計なものをごまかしてみました。

湖に映った像と上下対称の構図にするのは効果的な方法です。これは逆に湖をメインにしてみました。PLフィルターがあると撮影しやすくなります。

少し引きの逆光撮影は、枝や幹が邪魔になりがちですが、うまく構図に入れることで額縁のように見せることもできます。上の写真は、その点を踏まえて少し左に回り込むと印象が違ったかもしれません。