イルミネーション・夜景の撮り方

冬の街並みを彩るイルミネーションやライトアップ、展望台から見下ろす一面の夜景など、普段目にする風景とは違う輝きを美しく残す撮影テクニックをご紹介。

イルミネーション・夜景の撮り方特集
▼イルミネーション撮影に必要な機材を準備しましょう

■デジタルカメラ

夜景・イルミネーションの撮影で問題になるのは、シャッタースピードが遅くなることによるブレと、昼間の撮影よりも高感度ノイズが目立ちやすくなる点です。手持ち撮影は避け、三脚などでカメラを安定させて低感度で撮影するのが美しく撮影するための基本です。
ミラーレスカメラやハイエンドコンパクトなどは、光を取り込むセンサーが大きいためノイズが目立ちにくく、マニュアルで細かく設定を調整できるので最適です。
また、ダイナミックレンジ(再現できる明暗の幅)の広いウェアラブルカメラや本格的な安定化機構を内蔵したジンバルカメラなら、手持ちでの夜景撮影にも挑戦できます。


イルミネーション撮影におすすめのミラーレス
「ソニー VLOGCAM ZV-E10 II」

静止画だけでなく、動画撮影機能も大きく強化されたミラーレス。高感度とノイズに強い裏面照射CMOSセンサーを搭載し、暗いシーンでも目で見たままの雰囲気で撮影できます。

■交換レンズ

スローシャッターで撮る場合、F値の明るくない一般的なキットレンズでも、イルミネーションは十分に綺麗に撮影できます。ただし、光源を画面内に入れるため、昼の逆光時と同様にゴースト・フレアに注意して、絞り込んで撮影しましょう。交換レンズは、大きなボケを活かしたい・遠近感を出したい・一面に広がる広大さを強調したいなど、イメージに合わせて用意するといいでしょう。

[単焦点レンズ]

イルミネーションの一部を切り取る時、あるいはイルミネーションをバックにメインの被写体を撮る時など、美しく背景をぼかしてメインを引き立たせることができます。

> 単焦点レンズのラインアップをチェック
[広角ズームレンズ]

一面に広がる夜景やテーマ性のあるイルミネーションは、しっかりと全体を写しておきたいものです。三脚での撮影になるため、その場で構図の調整ができるズームレンズが最適です。

> 広角ズームレンズのラインアップをチェック
[望遠ズームレンズ]

離れてズームで撮影することで、圧縮効果により前後の距離感が狭められて密度の高い写真になります。被写界深度は浅く、ボケも大きくなるため、前ボケ・後ボケを活かした写真を撮りたい時に役立ちます。

> 望遠ズームレンズのラインアップをチェック

■レンズは光源ボケの美しさに注目して選ぶ

レンズに内蔵されている絞り羽根の枚数や形状によって、絞り開放にしたときのボケの形状が変わってきます。点光源を背景とする撮影では、羽根の枚数が多く円形に近い形になる物の方が、柔らかく美しいボケを描くことができます。

■絞り羽根は光芒の出かたにも影響します

開放とは逆に、絞り込んだ時には光源に光芒が発生します。光芒の本数も絞り羽根により違いが出ます。羽根の枚数が偶数なら、同じ数の光芒が、奇数の場合は倍の数の光芒が伸びます。
光芒は絞り込むほどくっきりしますが、一定以上に絞ってしまうと、画像全体の解像度が低下してしまうので注意が必要です。

■レンズフィルターを使って、さらに印象的な一枚に!

●クロスフィルター

点の光源に対して、光芒を描くことができるフィルターです。レンズを絞り込むことで発生する光芒と違い、フィルターを回転させることで自在に角度を変更できます。また、光芒の数も4本(クロススクリーン)、6本(スノークロス)、8本(サニークロス)から選べ、イメージに合わせて使用できます。

●ソフトフィルター

ピントの芯を残しながらも、全体的に柔らかくぼかすフィルターです。夢の中にいるような幻想的なイメージに仕上げることができます。また、光を少し大きく見せる効果もあるので、離れた場所からの撮影でも、煌びやかな印象を持たせることができます。

■イルミネーション・夜景に必須の撮影アクセサリ
[三脚]

長時間露光を行う夜景の撮影では、三脚が必須となります。脚はずっしりして安定感のあるもの、雲台はスムーズに水平出しができる3Wayタイプが最適です。三脚使用時には、カメラ・レンズの手ブレ補正はOFFに設定しておきます。

カーボン三脚

中型三脚(全高150cm~180cm程度)

小型三脚(全高149cm程度まで)

卓上三脚

[レリーズ・リモコン]

シャッターボタンを押す瞬間にもブレは出てしまうので、カメラに触れずにシャッターを切る必要があります。セルフタイマーやスマホアプリを使用する方法もあります。その場合はランプや画面の光が他の撮影者の妨げにならないよう注意しましょう。

ケーブルスイッチ

ワイヤレスリモコン

レリーズ

[バッテリー]

夜の寒空の下では、バッテリーの消耗が激しくなります。設定を変えながら何枚も撮影したいイルミネーションでは、思わぬバッテリー切れに備えて予備バッテリーを用意しておくといいでしょう。

カメラ用バッテリー

アクセサリキット

モバイルバッテリー

●室内からの撮影では写り込みに注意

室内から外の夜景を撮る時に気になる、ガラスへの写り込み。写り込みを防ぐ簡単な手段として、レンズやフードをガラス面に密着させるという方法があります。
ただし、この場合アングルには制限ができてしまいます。また、ビルやタワーの展望室など、厚い強化ガラスや二重窓では、やはり室内の光が入り込んでしまいます。
そのような場合は、暗幕やニンジャレフのような専用のシェードで室内の様子を隠すことで、写り込みのない綺麗な夜景を撮ることができます。


窓から離れて撮影
室内の様子が大胆に写り込んでいる。

窓にレンズをつけて撮影
多少は抑えられたが、端から光が入ってしまっている。

■スマートフォンで撮影するなら電動スタビライザー(ジンバル)がおすすめ

電動スタビライザー(ジンバル)は、3軸でカメラ・スマートフォンの動きを制御し、手ブレを強力に抑えます。通常三脚が必要な夜景の撮影も、手持ちで簡単に行えるようになります。

▼詳しくはこちらをチェック
スタビライザー(ジンバル)特集

▼イルミネーション・夜景撮影に挑戦しましょう

■万全の態勢で撮影に臨みましょう

●下調べ・セッティングは日が落ちる前に

日が完全に落ち切ってしまってからでは、三脚を安全に設置できる場所も探しにくくなってしまいます。夜景においては、暗くなってしまうと見えなくなってしまう背景もあるため、思い通りの構図を決めるのが難しくなってきます。

●撮影場所のルールをチェック

施設によっては、三脚・一脚や暗幕などの使用を禁止している場所もあります。予め確認し対策を講じておくことで、万が一の時に撮影のチャンスを逃す心配がなくなります。

【三脚が使えない時のために――手持ちで夜景を撮るテクニックをご紹介】

●設定を変更し、しっかり構える

手持ち撮影を行う時には、ISO感度を上げてシャッターが早く切れるように設定します。また、大切なのはカメラの構え方です。カメラは身体から離さず脇を締めて、左手は下から支えるようにボディとレンズを持ちます。ファインダーが付いている一眼レフは自然とこの形になりますが、小型ミラーレスやコンパクトも同様に、体全体でしっかりホールドするようにします。

●周りの物で手ブレを防ぐ

壁や街灯などに自分の体やカメラを押し当てながら撮影するのも有効です。一脚を腰に押し当てて固定したり、ネックストラップをピンと張って保持したりといった方法でも、手ブレ抑制の効果が期待できます。

●カメラの設定を万全に

ここでは、三脚を使用する際の設定について解説します。
手持ちで撮影するのとは勝手が異なるので最初の設定は少し大変ですが、しっかりセッティングしておけば失敗も少なく、納得のいくまで同じ構図で撮影できます。

■構図や設定を工夫して、さらに幻想的な仕上がりに!

●露出補正を活用する

比較的近距離で強い光を発しているイルミネーションに明るさを合わせると、明るさを抑えるために全体的に暗めに写ってしまいます。
逆に俯瞰での夜景は目で見る以上にカメラは暗いと判断し明るく写すように設定されてしまいます。
露出補正をかけて撮影することで、イルミネーションはきらびやかな雰囲気に、夜景は黒が締まって、メリハリのある写真にすることができます。

●ホワイトバランスで印象を変える

ホワイトバランスを変更することで、写真から感じる印象を大きく変えることができます。
写真に赤みを足すなら「曇天」「日陰」、青みを強調するなら「電球」「白熱灯」などに変更してみましょう。


 ホワイトバランス「曇天」

 ホワイトバランス「オート」

 ホワイトバランス「電球」

【暖色系の色合いで、温かみのあるイメージに】

暖色系に色合いを調整すると、光の温かみを感じられる写真になります。黄色のイルミネーションは少し豪華なゴールドっぽい色調に。人物も、血色よく写すことができます。

【寒色系の色合いで、クールなイメージに】

流行の青いイルミネーションは寒色系に色を調整すると雰囲気が際立ちます。暗闇に映える光や、少し張りつめた雰囲気を醸し出したい時、ビルや工場など無機質な印象の風景にも有効です。

●立体的な構図で、ボケを効果的に入れる

イルミネーションの撮影は、全体を写すより一部分を上手に切り取る方が印象的な写真に仕上がります。
どこにピントを合わせるか、だけでなく、ピントの合っていない部分をどのように構図に組み込むかということも重要です。
望遠レンズなら、歩道など長い距離に渡って控えめに輝くイルミネーションも凝縮して撮影できるのでおすすめです。


後ボケ

前ボケ

あえて画面全体をボカすことも