・お部屋の温度は下げずに涼しく過ごす

古くから親しまれてきた扇風機は、直接風を浴びて涼むことができる家電です。エアコンの使用を控えたい時や電気代を抑えたい時、また、窓を開けて自然な風を感じながら涼しく過ごしたい時に活躍します。
しかし、「扇風機の風はあたりが強くて苦手」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そうした方々にも心地よい涼しさをお届けできるのが、近年高い人気を集めているDCモーター搭載の扇風機です。従来のモデルに比べて微細な風量調整が可能になり、まるでそよ風のような、肌当たりのやさしい柔らかな風を実現。これにより、静音性や節電性能も向上しています。寝室や勉強部屋、書斎など、静かで快適な環境が求められる場所での使用にも大変おすすめです。

●DC（直流）モーター扇風機

DCモーターはエネルギーの変換効率が良く、モーターの電圧を制御し、回転速度を細かく調整できるのが特長です。

メリット
・省エネ：ACモーター扇風機と比較して消費電力が約1/2～1/3程度なので、電気代を節約できます。
・繊細で心地よい風：微細な風量調整が可能で、まるでそよ風のような優しい風から、パワフルな強風まで、好みに合わせたきめ細やかな設定が可能です。
・運転音が静か：稼働音が非常に静かなため、睡眠中や勉強・作業中でも音が気になりません。赤ちゃんがいるご家庭や静音性を重視する方におすすめです。
・多機能：温度センサーやワイヤレス操作など、便利な機能が充実したモデルが多く展開されています。

デメリット
・価格が高め：高性能、高機能なモデルが多いため、ACモーター扇風機に比べると本体価格が高い傾向にあります。
・機能が多い：多機能ゆえに、使用しない機能が多くなってしまう可能性もあります。

●AC（交流）モーター扇風機

ACモーターはDCモーターに比べると構造がシンプルで、モーターの細かい制御は苦手です。
メリット
・価格が安め：本体価格が比較的安価なため、予算を抑えたい方におすすめ。
・パワフルな風：強めの風を送れるモデルがあり、「とにかく涼しくなりたい」といった方におすすめ。

デメリット
・電気代が高め：DCモーター扇風機より、消費電力が大きいため、電気代が高くなります。
・風量調節はおおまか：細かい制御が苦手なので、風量調節は2～3段階程度のモデルが多い。
・運転音が大きめ：DCモーター扇風機に比べると、運転音が大きく感じる場合があります。

・風の質を決める羽根の枚数と形状

扇風機が送る風の質感は、羽根の枚数によって大きく変わります。羽根の枚数が多いほど細かな風を送り出しやすくなり、体感としてよりやわらかな風に感じられます。反対に羽根の枚数が少ないと、より力強い風を感じるでしょう。
近年では、DCモーターによる細かな風量調整と相まって、肌当たりのやわらかな風が好まれる傾向にあります。そのため、従来の3～5枚に対して、7枚以上の多羽根を採用している機種が増えています。また、高級モデルでは「心地よい風」「やわらかい風」を追求するため、羽根の形状そのものにも各メーカーが独自の工夫を凝らしています。例えば、シャープの蝶の羽からヒントを得た「ネイチャーウイング」のような独自の形状もその一例です。

・好みに合わせて細かく風量調整できる機種が人気

扇風機の風量調整は、従来の「弱・中・強」といった3段階程度のものが一般的でした。しかし、近年ではDCモーターを搭載した上位モデルを中心に、お好みの風量に合わせてよりきめ細やかな設定ができる機種が増えています。
例えば、真夏の暑い日に帰宅した際には一気に涼めるパワフルな強風、就寝時やリラックスしたい時には肌に心地よいそよ風のような微風など、シーンや体感温度に合わせて最適な風量を細かく調整できる機種が人気を集めています。

・上下左右、立体的な送風で快適性アップ

扇風機の首振り機能は、従来からの左右方向の動きに加え、近年では上下方向の動きや、上下左右を組み合わせた立体的な動きに対応したモデルが人気。単に広範囲に風を送れるだけでなく、風を上向きに送ることで室内の空気を効率的に循環させることができ、扇風機がサーキュレーターとしても活躍できます。また、部屋干しした洗濯物に直接風を当てることで、効率よく洗濯物を乾かすことも可能です。

●リモコン

離れたところからON/OFF、風量調整できるリモコン付きモデルが便利。就寝時や起床時にベッドから操作できるので寝室用としてもおすすめです。上位モデルになると、リモコンで首振りや方向指定など、全ての機能がリモコンで操作できる「フルリモコン」が付属する機種もあります。

●タイマー

睡眠時や外出時など、生活スタイルに合わせて運転させたい場合に便利なタイマー機能。現在はOFFタイマーだけでなく、運転開始時間を設定できるONタイマー搭載モデルも多くなっています。就寝時の消し忘れ防止や、エアコンをタイマー運転し、切れたタイミングで扇風機をつけるなどの使い方ができます。

●センサー

一部の扇風機には、「温度センサー」や「人感センサー」といった便利なセンサー機能が搭載されています。
・温度センサー:室温を感知し、それに応じて風量を自動で調節したり、設定温度を下回ったら運転を停止したりする機能です。これにより、無駄な電力消費を抑え、冷えすぎを防ぐことに役立ちます。
・人感センサー:人の動きを感知して自動で運転をオン/オフする機能です。人がいない時に自動で運転を停止するため、電気代の節約や消し忘れ防止に貢献します。

・エアコン効率を高める「空気の循環」

「エアコンの設定温度を下げているのに、部屋全体がなかなか涼しくならない…」。そう感じたことはありませんか？それは、エアコンの冷気が足元だけに溜まっていて室内に温度ムラが生じているためかもしれません。冷たい空気は下に、暖かい空気は上に溜まるため、自然な状態では部屋全体の空気が均一になりにくいのです。
サーキュレーターを使うことで、直進性の高いパワフルな風を送り、部屋全体の空気を効率的に循環させることができます。この点が、広範囲に柔らかい風を送る扇風機との役割の違いです。
サーキュレーターで室内の温度ムラを解消することで、エアコンの設定温度を必要以上に下げることなく、部屋全体を快適な状態に保つことが可能になります。これにより、快適な室内環境と電気代の節約を無理なく両立できるでしょう。

●隣の部屋に空気を送る

エアコンを背にして部屋の中間に設置すれば、冷暖房のない隣の部屋に快適な空気を送れます。

●効率的に換気

窓や玄関を開けて外に向ければ空気の流れができるため、換気がスムーズ。クローゼットや下駄箱にもおすすめです。

●洗濯物の部屋干しに

衣服に風を当てて乾燥時間を短縮。生乾きのニオイやカビの発生防止に役立ちます。

・空気を効率的に循環させるカギは「風の強さ」

サーキュレーターを選ぶ上で、風の強さは最も重要な要素と言えます。これは、サーキュレーターの主な目的である空気循環の効率に直結するからです。
風の強さの目安として、各モデルの「適用畳数」をチェック。使用するお部屋の畳数に対して、やや大きめの適応畳数を選ぶのがおすすめです。適用畳数に余裕があるモデルであれば、より早く部屋の空気を攪拌できるだけでなく、常に最大風量で運転する必要がなくなります。適用畳数は通常、最も強い運転をした時の目安として表示されているため、もし強運転時の音が気になる場合に、風量を下げてお好みのレベルに調整できるというメリットもあります。
また、一部のメーカーは風の「到達距離」を表示している場合もあります。こちらも合わせて参考にすると良いでしょう。

・DCモーターは風量が細かく調節できて省エネ

サーキュレーターのモーターには、主に従来の「AC（交流）モーター」と、近年主流となりつつある「DC（直流）モーター」の2種類があります。ここでは、DCモーター搭載モデルの主な特長をご紹介します。
DCモーターは、きめ細やかな風量調節が可能な点が大きな特長です。そよ風のような心地よい微風から、パワフルな強風まで、お部屋の状況や使用シーンに合わせて最適な風量を設定できます。
また、消費電力が低いため、長時間使用しても電気代を抑えられ、優れた省エネ性能を発揮します。
運転音が静かなモデルが多いことも魅力で、寝室や書斎、赤ちゃんがいるご家庭など、静かな環境でサーキュレーターを使用したい場合にもおすすめできます。
ただし、多機能、高性能ゆえに、本体価格はACモーター搭載モデルに比べてやや高価な傾向にあります。

・用途に応じた首振り機能の有無をチェック

扇風機には当たり前のように搭載されている「首振り機能」ですが、サーキュレーターの中には、首振り機能がないモデルも存在します。これは、空気の効率的な循環には首振り機能は必ずしも必須では無いからです。

広範囲の空気を効率よく循環させるためには、風を一方向に固定して遠くまで送ることが重要です。首振りをすると風の到達距離が短くなり、部屋全体の空気ではなく、近くの空気だけが動かされ、効率的な空気循環が妨げられることがあるからです。
そのため、空気の循環目的のみに使用する場合は首振り機能は不要です。
ただし、「扇風機の代わりとして使いたい場合（人に直接風を当てて涼む）」や「部屋干しの衣類乾燥に活用したい場合（広範囲の洗濯物に風を当てたい）」といった場合には首振り機能は非常に便利。空気の循環以外にもサーキュレーターを使いたいと思っている場合は事前に有無をチェックするようにしましょう。

●お手入れのしやすさ

扇風機の多くが工具不要で羽根やガードを分解して清掃できるのに対し、サーキュレーターは送風力が強いため、前面のガードがビスでしっかりと固定されているモデルもあります。ビス止めされている場合、工具を使わないと分解できないため、こまめにお手入れをしたい方には、工具なしでガードが簡単に外せるモデルがおすすめです。

●リモコン

サーキュレーターは空気の循環を行うため、部屋の隅に床置きしている場合が多いため、手元で操作できるリモコンが付属しているモデルが便利です。わざわざ本体まで移動することなく、快適に運転を調整できます。

●タイマー

就寝時や外出中に部屋干しをする際など、数時間だけサーキュレーターを使用したい場合に便利なタイマー機能。設定した時間で自動停止するOFFタイマーはもちろんのこと、機種によっては切り忘れ防止タイマーとして、例えば8時間連続運転すると自動で停止する機能を搭載しているモデルもあります。これにより、無駄な電力消費を抑え、より安心して使用できます。